遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

翻訳家 山岡朋子さん その34  『フリア・アルバレスと闇の時代』 その5: その他の作品

山岡朋子さんのエッセイ 『フリア・アルバレスと闇の時代』

http://shuppan.sunflare.com/essays/yamaoka_01.htm

で紹介されている他3作品について;


●『キンセアニェーラのお祝い』
作家HPでの分類は Nonfiction
"Once Upon A Quinceanyera: Coming of Age in the USA"

題名 = Suenos de Quinceanera Part 1 (第3部まであり、西語)


この動画は、ユニビジョン27で2007年11月19日放映されたものの様です。作者フリアさんおよびボストンの業者 「ソニアズ ブライダル」 オーナーさんとのインタビュー。


ラテン女性の15歳くらいって、本当に愛くるしいですからね。


●児童書『ロラおばちゃんがやってきた』
作家HPでの分類は Young Readers
"How Tia Lola Came to Visit Stay"

題名の一部が消されているのは、原作がその様になっているため。そのココロは何でしょう?また、雪なんて降らない常夏の島から来た愛すべきおばちゃんが、雪におおわれたバーモント州のうちへ向かう絵のココロは?

 



写真の出典:左 作者のHP http://www.juliaalvarez.com/young-readers/
      右 翻訳者のHP (下記) 「こんな本を出しています その2」より


この作品を書いた動機や背景は作者のHPおよびその中で紹介されているリンク先 (Random House: Behind the Book) で公開されています。この作品を翻訳された神戸万知さんは、ご自身のHP (http://godomachi.com) で以下の様に紹介しておられます;

ひとことで説明すると、ドミニカ風メアリー・ポピンズ。

両親が離婚して、ミゲルとフアニータは、ママといっしょに真冬のヴァーモントに引っ越してきた。そして、身も心もかじかんでしまった母子家庭に、ロラおばちゃんがやってくる。陽気で愉快なおばちゃんが、あっというまにみんなを幸せでつつんでしまう、とびきりやさしくてあたたかい物語。


児童書として日本には紹介されていますが、上に紹介したランダムハウス書店の書籍紹介ページは次の様なスペイン後と英語で締めくくられています;

url = http://www.randomhouse.com/catalog/display.pperl?isbn=9780440418702&view=authdesk


--- but also because I wanted to bring all those aunts back from the dusty past so that they could become a part of the lives of all my readers.

As Tía Lola would say in Spanish, "¡Bienvenidos lectores a la familia!  Welcome, readers to the family.

"Mi casa, su casa. Mi libro, su libro."
My house is your house. My book, your book.


フリアさんが10歳の時ドミニカ共和国に残していらっしゃった愛すべき”Tias”(=おば達) への想いを読者の皆さんと共有しましょう、と云うこと。合衆国で暮らしているラティーノ (ヒスパニック) のルーツを、ノスタルジーと共に紹介されている様ですね。多分優しく易しい英語で書かれているはずですから、翻訳本と併せて読むと楽しみながら勉強になりますよ。


●アルゼンチンのユダヤ人に焦点を当てた”The Ministry of Special Cases”(2007)

作者は1970年NYロングアイランド生まれのユダヤアメリカ人。

作家HP = http://www.nathanenglander.com/


題名 = Nathan Englander's The Ministry of Special Cases

作者自身が、新作の一部を紹介しています。


合衆国の経済を握り、従って政界を牛耳るのがユダヤ系、とのあまり良くない偏見が私にはありますが、作者の様な若い世代はどうなのでしょうか?合衆国内で暮らすヒスパニックの方々と比較してみるとおもしろいかも。


この作品も、例の 『汚い戦争』 に焦点を当てている様です。『ルス、闇を照らす者』 とは違った角度で歴史の暗部を描いているのでしょう。アルゼンチンは昔から欧州志向が強い国です。そう云えば確かユダヤ人国家建設の折、アルゼンチンは最後まで候補に残っていた、と云う話を読んだことがあります。一方、相当数のナチの残党もアルゼンチンに潜伏していた、と云う話も。アルゼンチンの、ひいては中南米の特異性を理解するには、その歴史をまず知ることが絶対に必要ですね。音楽もしかり。合衆国とカナダ以外の米州 --- つまりカリブ・中南米地域って色々な意味で本当におもしろいのですが、何故か日本であまり紹介されませんね。地理的に遠いからかな?