遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

翻訳家 山岡朋子さん その32  『フリア・アルバレスと闇の時代』 その3: "Before we were Free”

今回は、山岡朋子さんのエッセイ 『フリア・アルバレスと闇の時代』

http://shuppan.sunflare.com/essays/yamaoka_01.htm

で紹介されているフリア・アルバレスさんの小説中、"Before we were Free”(2002)を紹介することに。


フリアさんご自身のHP (http://www.juliaalvarez.com/) 中の書籍紹介サイトでは、作品を以下の様に分類されています;

Books
 Novels
 Poetry
 Nonfiction
 Young Readers (FOR YOUNG READERS OF ALL AGES)
 All Books

既に紹介の2作品 ("How the García Girls Lost Their Accents" 1991 および "In The Time of the Butterflies" 1994) は Novels に、今回紹介の作品は Young Readers に分類されています。また各々の書籍紹介コーナーには、 Penguin Book Club Reading Guide へのリンクも貼られています。例えば;

http://www.randomhouse.com/kids/catalog/display.pperl?isbn=9780375815447&view=rg

ABOUT THIS BOOK   (書籍紹介)
READER'S GUIDE   (読書の手引き;質問形式)
ABOUT THIS AUTHOR (作者紹介)

またこの書籍に関しては更に Random House Author Interview も紹介されており、なかなか親切な構造です。

http://www.randomhouse.com/kids/catalog/display.pperl?isbn=9780375815447&view=qa


この中から質問だけを抜粋して抄訳しますと;

  • この小説はあなた自身のご家族の経験が元になっているとのことですが、書くにあたって、その記憶や実際の出来事はどの程度影響していますか?
  • 実際の歴史に基づくことは、創作活動をどの様に難しくしましたか?またどの様に容易にしましたか?
  • 小説の中でアニータの両親は改革のため国に残る道を選びました。あなたはドミニカ共和国の将来に関わり続けてきましたか?またこの小説を、あなたのその決意の一部と見ていますか?
  • 小説中、状況が深刻になるにつれアニータは寡黙になります。これを書くにあたり、アニータの反応は典型的であるだけでなく象徴的なものと見ましたか?
  • アニータの父親、おじとそのグループの採った行動は、明らかに議論を呼ぶ極端なものでした。殺人は政治的な行動としては恐ろしい手段です。あなたは、読者に何を学んで欲しいですか?
  • 当初アニータは国の政治的な闘争について何も知りません。家族と友人と云う身の回りの世界の中では全てがうまく行っており、それはどこでも同じだろうと考えます。これは若い人たちの普通の考えでしょうか?
  • 他人を知り政治的に目覚めることで本当に何かが変わりますか?私たちは何から始めるべきでしょう?


作品そのものを読んでから(作者の返答を)読むとおもしろいと思います。この小説もまた、フリア・アルバレスさんの観る、歴史の俯瞰と云えそう。


加えてフリアさんの作品を通じて、合衆国の中で暮らすヒスパニックの方々のことを垣間見ることも出来そうです。また、英語版ウィキ (http://en.wikipedia.org/wiki/Julia_Alvarez) に、女性作家としてのおもしろい記述がありますので紹介しておきます;


(例によってわからないところはごまかすいい加減な抄訳レベルですから、原文全てを必ず参照して自分なりに考えて下さいね)


−−−女性の執筆動向についてフリアさんは、 「女性作家に関しては、今だに目には見えない限界が厳然として在ります。ある女性(登場人物のこと?)が何か画期的なことに関わっているとしても、同時におむつを替えたり炊事をしたり、いわゆる女性の小説と称されることにも依然として関わっています。男性の小説は普遍的であるのに、女性のそれは女性のためだけのものであることです。」


Regarding the women's movement in writing, Alvarez explains, "definitely, still, there is a glass ceiling in terms of female novelists. If we have a female character, she might be engaging in something monumental but she's also changing the diapers and doing the cooking, still doing things which get it called a woman's novel. You know, a man's novel is universal; a woman's novel is for women."


フリアさん (言い忘れておりましたが、Julia は英語読みではジュリア、西語ではフリアです) 自身出演して書籍の紹介行っている動画を紹介しますね;

題名 = An interview with Julia Alvarez
プレゼントによさそうな本ですよ。