遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

私の大好きなフラメンコのこと その1: カディスの唄

1月15日付け『フラメンコの唄い手達: アグヘータス と ボリーコ』が実際にはその1ですが;

http://d.hatena.ne.jp/El_Payo_J/20090115/1231950707


翻訳とは直接関係はない様に見えて実は私の場合おおありの、かつ私が西語を学ぶうえで欠かせなかったフラメンコのことも気楽に紹介していくことにします。実は本を読むことよりも好きだったりして。私の好みですから旧いものが多いのはご勘弁。


フラメンコの基本要素は3つ:華やかな順に挙げると、(1)踊り (2)ギター (3)唄 ですね。私がのめり込んだ順は、(2) → (3) です。高校生の頃ラジオで聴いたギター演奏に惹かれ、そのギタリストが来日した際コンサートへ行き、その帰り道熱がさめないうちにギターのレコードを買うつもりが、偶然フラメンコの唄(これがまた渋いものでした)のレコードを見つけて衝動買い −−− その不思議な魅力に負けてそれから唄のレコードを集め出し、当時解説やら歌詞の対訳をしておられた勝田保世さん(結局生前お会い出来なかった)、濱田滋郎さん、中村とうようさん、ラモン・高場将美さん、小泉文夫さんなどの文章でどんどん深みに。

平行してスペイン語を独学で始め、結局宇宙物理学志望の道を踏み外して文系へ進路を変更、西語を専攻することに。西語が少しわかり出してからはスペインのレコードを集めましたが、お店の主人であったナガタ(多分「永田」)さんと云うおばちゃんの人柄に惹かれたことも手伝い、当時確か恵比寿あたり?から中目黒に引っ越したディスコマニアと云うお店に入り浸っていましたっけ。レコードショップはあちこち行きましたが、普通フラメンコなんて置いてなかった。

それから早xx年が経ちましたが、今は世界中からCDやらDVDが比較的容易に入手出来る様になり、最近では、昔であれば余程の好事家でなければアクセス出来なかった貴重な録画がネットで気軽に見られる時代に。


今日紹介するのは、私が大好きな女性の唄い手 La Perla de Cadiz (1925〜75);

題名は EN CAI LA PERLA Y M MORAO HACE 45 ANOS


解説は多分ドイツ語。冒頭、伴奏家のマヌエル・モラオに手を引かれて登場するのが、カディスの唄の大御所であるアウレリオ(1974年没ですから、このビデオの題名 "45年前" と併せて判断するに撮影は60年代初頭?)、まだ子供であった踊り手の ディエゴ・デ・マルガラ、そして ラ・ペルラと夫君のクーロ・ラ・ガンバなど。正に夢の様なメンバーです。内輪の宴会ですね、本来フラメンコを楽しむには最高のカタチです。

ラ・ペルラのレコードはそれこそ擦り切れる程聴いていますが、映像で見たのはつい最近。CDやらDVDでも昔の映像は入手できる筈。多分アウレリオを前にして緊張していた筈ですが、本領発揮のブレリアには感激、モラオの伴奏も!! 軽い唄から深いものまで幅広く、 Propio Sello を持って唄えるひとでした。50歳で逝ってしまったのは本当に残念です。


参考まで、更にラ・ペルラ自身のことを知ろうと思うなら、本人と旦那さんの言葉も聞けますね。例えば

題名は  la perla su vida de cadiz solea entrevista flamenco


いい教材でしょ? まして好きなことなら楽しいし。フラメンコの唄なんて云う超マイナーな世界でさえ相当数のビデオがアップされていますから、応用がききます。


学生時代にどなたかから紹介頂いたジャズやら、ブルースやら中南米フォルクローレやら色々感動出来る音楽はあるのですが、やっぱりフラメンコの唄が一番私にはしっくりきますね。