遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

皇后陛下 80歳誕生日に際してのおことば

← 2011 年終戦記念日 その2: 全国戦没者追悼式でのおことば / 2011-08-18



日本国憲法第1条 により規定された日本国および日本国民統合の 象徴 たる 今上天皇 明仁皇后 (英語では empress consort) でいらっしゃる 美智子 陛下 (英語では Empress Michiko) 80歳誕生日のおことば 〜 宮内記者会の質問に対する文書ご回答から抜粋;


 皇后陛下お誕生日に際し(平成26年)

  • 問2
     皇后さまは天皇陛下とともに国内外で慰霊の旅を続けて来られました。戦争を知らない世代が増えているなかで,来年戦後70年を迎えることについて今のお気持ちをお聞かせ下さい。
  • 皇后陛下
     −−− 世界のいさかいの多くが,何らかの報復という形をとってくり返し行われて来た中で,わが国の遺族会が,一貫して平和で戦争のない世界を願って活動を続けて来たことを尊く思っています。遺族の人たちの,自らの辛い体験を通して生まれた悲願を成就させるためにも,今,平和の恩恵に与っている私たち皆が,絶えず平和を志向し,国内外を問わず,争いや苦しみの芽となるものを摘み続ける努力を積み重ねていくことが大切ではないかと考えています。


 Press Conference on the occasion of Her Majesty's Birthday (Written Answers) (2014)

  • Question 2
     Over the years, Your Majesty, with His Majesty the Emperor, has continued to make many trips both in Japan and abroad to pay respects to those who lost their lives in the war. As the number of people in Japan who have never experienced war continues to grow, could you tell us Your thoughts as we commemorate the 70th anniversary of the end of World War II next year?
  • Answer 2
     −−− While many of the conflicts around the world have been repeated in the name of retaliation of one form or another, I feel great respect for the Japan War-Bereaved Families Association, which has consistently engaged in activities aimed towards a peaceful world, free of war. We must realize their ardent wish for peace, born of their own painful experiences. To that end, I believe it is important for all of us today who are enjoying the benefits of peace to continue to make every effort to nip the buds of conflict and suffering both in Japan and abroad, and to always aspire strongly towards peace in the world.

上に引用したおことばは、 『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し』 『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。』 と云うどこかで聞いたことのある大原則そのもの、と見ることも出来そう。ひとつだけ追加させて頂くなら 『世界のいさかいの多くが,何らかの報復という形をとってくり返し行われて来た』 の部分; いさかいの形は報復だけではない、 『教化・指導』 の衣をかぶせた 『イデオロギーの押し付け』 も少なくは無い、ってことでしょうか。世界中に張り巡らされたネットワークによる情報操作が容易になった今、報復より始末に負えません。


その一方、行政権を担う筈の現内閣がこれを嘲笑うやうに 『争いや苦しみの芽となるものを』 摘むどころか自ら植え・掘り起こして育て続け、 『一貫して力の誇示に依ってしか維持できないと考える 「積極的に」 平和な世界を願って』 対外的に見苦しく姑息で品のカケラも無い活動を展開しているのは一体どういうことか。政府が勝手に同盟国扱いする覇権国も含めた国際社会からは 『リビジョニスト』 と軽蔑され、地域では再軍備への警戒を招くのが関の山とおもうが。


そんな中、私も含めた恐らく国民の少なからぬ数が賛同出来るであろう、拘束力は無いが明快な皇后のおことばには本当にほっとさせられます。正気がまだ残っている。上掲引用部分だけではなく全ての回答にお人柄がよく出ていますし。


−−−
ところでおことばに続いて 「この1年のご動静」 も紹介されていますが、天皇陛下同様、お歳に比して 「お務め」 が過重過ぎやしないか? ご両人の強い義務感・ご要望によるものと想像しますし、適度なものなら肉体的・精神的な健康によいことも事実ですが、公務の分担は見直されるべきでしょう。80歳をコキ使ってどうするのか−−−

.