遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

長崎グループホーム火災による惨事: 加湿器を犯人にして終わりなの???

どうも、問題の本質から目をそらせようとする様な報道が多い様な気がします。メーカーは早々と謝罪、それはそれで褒められはしないものの製造責任を認めた点評価出来ますが、既に加湿器が火元と断定されたのか? 一時的に出火元の可能性の高い加湿器に焦点が当たっているだけならよいが−−−


百歩譲って加湿器が火元として異常加熱が起こったとしても、それが即出火に繋がるとは云えないでしょう。更にそれが出火に繋がったとしても、可燃物・爆発物を近くに置いていたとは考えにくいから、爆発的な火災に繋がるとは思えない。何かに燃え移ったなら、相当時間ブスブスと煙が上がった筈。ここは感知器 (熱・煙・炎など) やら連動する消火設備、警報設備の出番ですね。


では非常ベルが鳴りスプリンクラー (実際には設置されていなかった様ですが) が作動し、消防に火災通報がなされたとしましょうか。消火器は近くに無かったのか、扱い方は周知されていたのか? また何人の入居者がいらっしゃったかは確認しておりませんが、消防車到着までの間にどれだけ入居者を避難させられたか? 言い換えるなら何人の職員が詰めていたのか? 十分対応できるだけの体制があったのか? 避難や消火活動に支障の無い建物・構造であったのか? 消防車到着に時間がかかったのは何故か? ざっと考えても、この惨劇に至るまでには検証すべき点が数多くあります;


施設内にリコール中加湿器=ヒーター部分脱落で異常過熱か―長崎グループホーム火災
  時事通信 2月23日(土)0時8分配信

  −−−リコール(回収・無償修理)を届け出ている加湿器が出火元の2階の部屋にあったことを明らかにした。加湿器のヒーターが一部脱落し異常に発熱したことから、火災となった可能性が極めて高いという。 (以下略、引用終わり)


「グループホーム火災対策検討部会」を設置−消防庁、長崎市の火災を受け
  医療介護CBニュース 2月22日(金)16時12分配信


「認知症高齢者グループホーム等火災対策検討部会」の開催
  平成25年2月22日、総務省消防庁


一連の法; 消防法同施行令同施行規則 などに瑕疵は無かったのか、その運用、即ち許認可や点検などに当たっての当局対応に問題は無かったのか、建築法などの違反事項は無かったか、このホームに限らず介護あるいはそれに準ずる施設での緊急時対応の体制はどうなっているか、そこで働く人達の声は−−−等々、出火原因に劣らず見直すべき領域は広い筈です。もし本当に再発を防止したいなら、ですが;


長崎・グループホーム火災:長崎市、スプリンクラー設置の新制度検討 /長崎
  毎日新聞 2月22日(金)16時41分配信

長崎・グループホーム火災:市、火災受け69施設立ち入り調査 建築基準法違反20件 /長崎
  毎日新聞 2月21日(木)16時38分配信

長崎・グループホーム火災:発生時、職員少なく 建物に1人、訓練の成果生かせず /長崎
  毎日新聞 2月13日(水)16時12分配信

「グループホーム」夜勤ルポ 火事で9人助けられない…過酷労働ぎりぎり運営
  産経新聞 2月19日(火)7時55分配信


介護やら福祉施設は、人手がかかる分、人件費の高い日本では非常に割高でしょう。それを削るための 「経営努力」 と称して、法のココロを無視した安普請で劣悪な施設で職員が薄給でコキつかわれている現状はないの? 経済効率だけを考えると必要悪でしかない、現代版姥捨て山ではないか、と思われて仕方が無い。お年寄りのみならず、いわゆる弱者と考えられる乳幼児・障がい者を預かる施設でも事情は同じですから、再発候補地は数限りなくある筈です。 お役所やら欠陥商品を製造したメーカーやら 「悪徳業者」 やら、彼らにコキ使われる可哀想な職員だけに責任を転嫁して済む問題では無い、誰でもいつかは世話になる可能性のある国民皆の問題ですよね−−−


長崎グループホーム火災 問題点は 命守るコスト論議を 地域との連携構築も大切
  2013年02月21日 13:54、西日本新聞

   惨禍のきっかけ (トリガー) となる事象は異なりますが、津波など震災後の対応も基本的に同じ。

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