遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

翻訳家 山岡朋子さん その97  『ルス』 の照らす闇: アメリカ版 続報

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犯人の量刑が確定し、 Carlina White 誘拐事件 はこれで一区切り。ただし23年に渡って 「中断」 した家族を取り戻す、あるいは創り直す苦労はこれから:


新生児連れ去り23年間育てた女に禁錮12年、米裁判所
  AFP=時事 8月1日(水)9時37分配信

  −−−公判でペットウェー被告は罪を認め、カーリナさんの両親に謝罪した。しかし実の母親であるジョイ・ホワイト(Joy White)さんは、「無数の破片に砕け散ったような気持ち」だと心境を吐露。赤の他人にわが子として育てられたカーリナさんが、いまだに自分のアイデンティティーをめぐる混乱から解き放たれていないことを明かし、家族の苦しみを訴えた。 (以下略、引用終わり)


Ann Pettway sentenced to 12 years for kidnapping Carlina White in 1987
  Last Updated: 4:26 PM, July 30, 2012, NYPOST.com



昨年は311のフォローにかまけて追いかけ切れませんでしたが、事件およびその周辺の、記事投稿時点までの一部始終がよくまとまっていると思われる記事は;


Kidnapped at Birth (プリント用単一頁)
  Published Oct 23, 2011, New York Magazine


実の親が判明したとしても、育ての親が憎むべき誘拐犯だったとしても、23年間、犯人は 「理想的とは言えないまでも、精一杯子どもを育て上げた母親であった (上掲記事中のカルリナさんの言葉)」 ことは間違い無さそう;


  
   写真中央が犯人、左がネッティ (戸籍名カルリナ) さん。

−−−What really put her (ネッティ、戸籍名カルリナさん) and Joy (産みの母親) at odds was Ann Pettway (犯人、育ての母親). I know they both (実の両親) want justice, Netty says of Joy and Carl. I would feel the same way if someone did that to my child. But at the same time, I have unconditional feelings for her. She means Ann, though she still won’t mention her by name. I’m willing to forgive her. And I still have love for her. (中略) When someone asks me what my name is, she says, I say Netty (23年間馴染んだ愛称). I don’t tell them my name is Nejdra, and I don’t tell them Carlina. Netty’s not what the Pettway family gave me or what the White family gave me. It’s what I gave myself. (上掲記事より抜粋)


行方不明の子を想い探し続ける実の親および事情を知る犯人かつ育ての親にとってはある意味一貫しているものの、被害者である子どもにとっては、人生の中に突然おおきな段差が現れた訳で、それをどう埋めるか、乗り越えるか、折り合いをつけるか、あるいはいずれもできないか、は本人次第。周りからかくあるべき、と押し付ける性格のものではありません。時間が解決してくれるのでしょうか。


  
   実のご両親とともに


乳幼児〜子どもの誘拐の動機は、アルゼンチン軍政の様なアカ狩りの副産物であったり、営利目的であったり、このケースの様に純粋に自分が授かることの出来ない子ども欲しさであったり様々。真実が明らかになることは善いことではあるものの、同時に、場合によっては当事者に修復出来ない苦しみも与えます。それでも真相究明を続けなければならない理由は、再発防止でしょう。 NUNCA MAS, NEVER AGAIN ---