遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

2011年東北地方太平洋沖地震 その58: 工程表 − 福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋 (頭狂電力作) とその周辺

外圧からにせよ、この様な見通し "Road Map" が提示されたことは評価出来ます。ただしその中身は問題だらけでしょう;

福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋
平成23年4月17日 / 東京電力株式会社


   当面の取組み(課題/目標/主な対策)のロードマップ(PDF 78.1KB)


この Road Map なるもの、世界中の重要問題に関しても種々作成されています。有名なものでは例えば "Road map for peace (for Israeli-Palestinian conflict )" ですが、無駄とは云わないまでも機能しているとは言い難い。当然ながら関与者の思惑やら力関係がが色濃く反映された恣意的なものだから。  ロードマップ これはプロジェクト管理用のもの。管理屋さんが大好きな道具。


頭狂電力作のものも、原発損傷状況が未だに明確になっておらず結果と原因が結びついていませんから不確定要素が多過ぎて、ロードマップと云うより単なる希望的観測あるいは見通しの叩かれ台に過ぎません。その場逃れの言い訳資料。これでは、どこの企業にも跋扈するレベルの管理屋さんの無責任な発言のエジキになるだけ。これからまだまだ 「想定外」 の事態が有り得るでしょうし。今までの経緯あるいは過去の原発事故を見る限り、半年で事態を安定させ、中期 (通常3年程度ですよね) で環境の安全性を確保するなんて甘過ぎる。落とし所が最初から見えているなれあい春闘の 『ガンバロー』 などとはワケが違う。ガンバって何とかなるなら今の様になってませんって。こんないい加減な工程表もどきよりも、最悪のケースによる工程表を作成して、そこからどう逃れるかを考えて実行・管理するしかない筈です。プロジェクトなんて失敗しても誰も傷付かないが、今回はいのちと生活がかかっていることを認識していないのでしょう。


原発事故に関する同規模の前例としては チェルノブイリ原子力発電所事故 でしょう。更に云うなら、人間の被ばくについての最高の前例はヒロシマナガサキ 原爆投下 によるものですが、結局我々はどちらからも何も学んでいなかった。悲惨だ、繰り返してはならないとは言いながら、国として何もして来なかった。核兵器の廃絶どころか、それを覇権維持のための必要悪として放棄しない核保有国に対して当たり障りの無いキレイごとを繰り返すだけで黙認して来た。原発の安全性を疑いながらも、権威のありそうなセンセイ達がもっともらしく垂れるウソに騙されて地元のリスクを軽視しその稼働を許し、その見返りに電気の浪費の上に成り立つ 「文化生活」 を享受して来た。そのツケが今いっぺんに回って来ているワケですから、私も含めて救いようの無い馬鹿と言わざるを得ません。そのうえ原発事故により避難を余儀なくされた原発を擁する福島県の方々をバイキン扱いするのですから、我々はナンボのものなのでしょう???



<福島第1原発>高濃度汚染水、海へ流出4700兆ベクレル
  毎日新聞 4月21日(木)13時7分配信


  福島原発汚染水処理、来月末めど=毎時50トン除染へ―仏アレバ
    時事通信 4月19日(火)21時37分配信


     汚水のレベルが現在より増えなければ、の前提でしょう。もしまだ汚染水そのものがどこから漏れ出しているのかが特定出来ていなければ、これから汚染水増加が加速する 「想定外」 の事態だって有り得る訳ですよね? 余震も収まらないし。


母乳から微量の放射性物質=市民団体が検査―福島
  時事通信 4月20日(水)19時50分配信


   このケースに限らず、検出された放射性物質の危険レベルはもちろん問題ですが、検出された放射能が今回の原発事故によるものかどうか、と云う点こそ見極めが必要。 「この程度なら自然界にも存在する」 だの 「健康には直ちには影響しない」 だのと云った議論には要注意。原発から放射能が漏れることをなし崩し的に認めさせようと云う動きには徹底抗戦しなければ。ただしこれだけ世界中が注目していますから、そんな姑息なマネは出来ない筈ですけどね。


<福島第1原発>米が推計の累積被ばく線量公表 日本より精緻な分析
  毎日新聞 4月21日(木)8時51分配信


  避難基準超え、北西に分布=米が積算放射線量の予測図
    時事通信 4月21日(木)15時12分配信


  原発事故、海外のメディア楽観視せず 日本政府と東電になお不信感
    J-CASTニュース 4月20日(水)18時22分配信



<チェルノブイリ原発>国連事務総長らが訪問
  毎日新聞 4月20日(水)22時45分配信


  チェルノブイリ25年、米など処理費660億円
    読売新聞 4月21日(木)9時33分配信


  チェルノブイリ原発事故当時の責任者、日本の危機対応を称賛
    ロイター 4月20日(水)13時11分配信


     変な褒められかたもあるものです。しかし記事末尾に 『当局はチェルノブイリ原発事故による死者を31人としているが、がんなど放射線に関連した健康被害で死亡した人も多く、最終的な死者数や長期的な健康面への影響については、今も激しい議論の対象となっている。 』 とありますから、どんな危機対応も充分では無いとも言える。 「専門家」 やら御用学者のセンセイ達は口を揃えてチェルノブイリ原発事故と健康被害の関連性を否定している筈です。似たケースでは、劣化ウラン弾との関係が疑われる症状があります。 ブログ内過去関連記事 既に他人事では無くなりつつあるのかも知れません。 「直ちに影響が出ない」 のは、ある意味もっと恐ろしいことでは?



福島ナンバー拒否、教室で陰口…風評被害に苦悩
  読売新聞 4月21日(木)14時34分配信


  「市民の安心のため」と釈明=福島転入者の放射能検査問題―つくば市長
    時事通信 4月19日(火)21時23分配信


     つくば市長も自地域住民のことを考えての苦渋の決断であった筈、と考えると、一概には責められないかも。本来政府の出番と思うが、機能していないからどうしようも無いのか? 「相手の気持ちを考え、やさしさを忘れず、みんなでこの困難を乗り越えていきましょう」 なんて、牧歌的で呑気ですね。差別する方もされる方も、もっと切羽詰まっている筈ですが。



弘兼憲史、茂木健一郎、勝間和代… 原発PR協力の文化人へ風当たり強まる
  J-CASTニュース 4月19日(火)17時12分配信


   『−−−原子力関連技術自体を罪悪視、タブー視するのは愚かな選択である」』 とのふざけた発言が引用されています。私がタブー視では無く罪悪視しかつ心底軽蔑するのは、手に負えない原発をあたかも安全であるかのように宣伝したり、中身の無い本などを乱出版したりしておカネを稼ぐことだけは並はずれて上手な、この大ボケした 「文化人」 なる輩です。(注: カネは単なる価値の交換手段に過ぎませんから軽蔑やら尊敬する対象ではあり得ません。問題はそれを扱う人間。) 気楽でいい商売ですね、言ったことに何の責任も取らずに済むのですから。コイツらこそ、愚かです。こんなクズやその報酬に見合った仕事の出来ないマネジメントより今大切にしなければならないのは、文字通りいのちがけで事態収拾に当たっているひとたちでしょう。前者なんて幾らでも代わりはいますが、後者はそうはいきませんから;


東電が社員年収2割カット? 「少な過ぎるか」批判と同情
  J-CASTニュース 4月21日(木)20時32分配信


  福島第1原発 「ババ引くのは作業員」嘆く下請け社員
    毎日新聞 4月21日(木)7時36分配信


  レトルト中心、風呂はなく=第1原発、作業環境依然厳しく―福島
    時事通信 4月20日(水)22時7分配信


  原発作業員の過酷な生活 菅首相は「責任をもって保障すべき」
    J-CASTニュース 4月21日(木)19時32分配信


     運営当事者である頭狂電力の現マネジメントは無能、それを管理すべき政府は機能せず。組合は機能しているのか、経営なんて実は何もやっていない 「経営側」 との馴れ合いもいい加減にしろ、と言いたいですね。放射能漏れ事故で被害補償に充てる資金確保に向けたリストラの一環? アホか、事故はまだ終わっていない。 いのちがけの50人 (海外で命名された フクシマ50、ただし正確な人数やら詳細は例によって非公開) とそれを支える社員がいなければ被害額、従って賠償額はもっと増えることがわからないのか? 現場を大事にしない、結果として周辺住民のみならず国や世界に迷惑をかけ続ける、とんでもないカイシャ。言いたかないが、今の TEPCO は日本の恥晒し以外の何物でもない。