遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

2011年東北地方太平洋沖地震 その13: 物資が届かない、放射能汚染?? (随時更新)

原子力発電所に関する参考リンク集


国内外からの善意のメッセージやら募金など心強い部分もありますが、現実には被災地への援助がうまく進んでいない、および世界中が心配し周辺国まで巻き込んで大きな影響を与えかねない放射能漏れに関して何の指針も示されておらず、国内外に混乱を拡大させている、と云う心細い部分も。この2点に絞って記事を紹介;


【被災地への援助】


昨夜の厳しい冷え込みだけが原因かどうか不明ながら、避難所でおひとり亡くなられた様です。ご冥福を祈るしかありませんが、私個人的には申し訳ないと云う気持ちでいっぱい。避難所では精一杯手を尽くされた筈ですが−−−。この問題は、放射能汚染とも大きく関連します;


 厳しい冷え込みの中、避難所の住民死亡
   読売新聞 3月17日(木)3時4分配信


 「寒さしのぐ燃料ない」=ガソリン不足深刻に―我慢限界、暴動懸念の声も
   時事通信 3月16日(水)17時23分配信


上掲記事にもある様に、それでなくとも寒さなどから体力を消耗しやすい状況の下、物資が届かないと云う現実があります;


 不満と恐怖地元限界 物資ストップ「見殺しに等しい」
   (06:10) 2011年03月17日木曜日、河北新報ニュース


   −−−屋内退避の指示が出た原発から30キロ圏内の自治体は極端な物資不足に陥った。 (以下略。下掲記事で再度引用)


   放射線恐れ輸送拒否も 福島県、国に支援要請
     (06:10) 2011年03月17日木曜日、河北新報ニュース


    読んで字の如し。運転手さんを責める気には到底なれませんが、でも、例えば防護服を着た運転手さんが、無防備の被災者でいっぱいの避難所に、と云うのもおかしな光景。被災者は 「汚染」 地域に放置されているのでしょうか?


 ルート途絶で集積所滞留…避難所に届かない物資
   読売新聞 3月16日(水)14時52分配信


    物資の流れが滞る主要な原因は; 輸送ルートの損壊、援助物資の流れが途中で分断されていること、救助活動が優先されていること、被災地での自家用車使用の4点と云えるでしょうか。 (この記事では、放射能漏れによる影響は除外) 各々についての要旨は;

  1. 輸送ルートの損壊; 東日本地域の製油所11か所中6か所は稼働しており供給能力は十分だが、青森県八戸市宮城県塩釜市など太平洋側にある石油の貯蔵拠点は津波で損壊していて、ガソリンスタンドや避難所までの輸送が滞っている。


  2. 援助物資の流れが途中で分断; 全国から延べ100台以上のトラックが食品メーカーの工場などからの物資を被災地に輸送済みだが、物資を降ろすのは市役所の庁舎や、行政から事前に指定された倉庫まで。そこから先その物資を避難所に届けるのは市の役割。


    「市」 なる超人的なものは物理的に存在しませんから、結局被災者自身で、と云うことになっているのですね。餅は餅屋、物流エキスパートの助けを借りるべきでは? 問屋さんを介して、などと云う悠長なことは言っておられない。行政区分ではなく地理区分 (物流特性区分?) で物流を考慮したほうがよいケースだってある筈。


  3. 救助活動が優先; 自衛隊が避現在被災地に運び込んでいるのは、自衛隊や米軍が備蓄していた缶詰や水、菓子。いったん空港や港などに降ろした後、再びトラックやヘリに載せ替えて避難所などに配るが、ヘリコプターは救助活動に優先的に使用され、避難所に物資を輸送するのは後回しになるケースがある。


  4. 被災地での自家用車使用;  給油しようとする市民の車がガソリンスタンドから車道上に列を作り、車線がふさがれているために計画通りに運べていない。


    私は訪問したことがありませんが、多分クルマがなければどこへも行けない地域でしょう。失礼な言い方をするなら、クルマに頼り切った生活を余儀なくされていると思いますが、災害時には自家用車の使用は制限されるべき。ただし、例えばご遺体の安置所はクルマでなければ行けない場所にあるなどの事情を考えれば、最低限の代替えの公共移動手段は提供される前提。被災地でのクルマは正に諸刃の刃、自分で自分の、あるいはコミュニティーのクビを絞めかねません。

多くのおカネが本当に必要になるのは、被災地での最低限の生命維持が確保出来る様になって復興を考え出してからでしょう。今この瞬間に必要なのは、滞った物流をどう回復させるか; 一部の例外を除いて物資が不足している訳ではありません、被災者の一歩手前までは届いている訳ですから。政府はその点を最優先で考慮・対策しなければならないのでは? むろん被災地外での買いだめは厳に慎むべきですが。


原発事故】


米政府、福島原発80キロ圏内からの避難を米国民に勧告
  CNN.co.jp 3月17日(木)10時3分配信


こんな緊迫感は国内にはありませんね。原発に関しては間違いなく日本のセンセイであるアメリカは事態を誇張しているのかと云うと、どうもそうではない;


「最悪なら東日本つぶれる」=専門家自任、笹森氏に明かす―菅首相
  時事通信 3月16日(水)22時11分配信


そこまで認識しているのに、何故無策なのか? 東日本をつぶして構わない? 結果として、xxセンセイのコメントなど引用した上で 「有給休暇を利用して (一体何日あると思ってるの?) 避難してください」 などの発信も多い様です。混乱は拡がるばかり。上掲 河北新報の記事 から、被災地の怒りの言葉を引用します;

  • 「住民に家にこもっていろというのは見殺しに等しい。国が命を守るというのは空文句だ」と桜井 (南相馬市) 市長。「国や県は現地に足を踏み入れ、惨状を目の当たりにしたらどうか」と痛烈に批判した。
  • 冨塚 (田村市) 市長は「国は原発が爆発したら何キロまでが危険かを明確に示し、危ないのなら受け入れ先を調整すべきだ。このままご飯がもらえないと、ここにいる人は死んでしまう」と訴える。
  • いわき市) 市地域医療対策室の男性職員は「実際はほぼ全市で屋内待避している。まるでゴーストタウンだ」と嘆いた。
  • (相馬市の男性は) 「逃げられるものなら逃げたいが、ガソリンが底を突きかけている。まして避難所にいる知人らは逃げろと言われても逃げるすべがない」


「国家が国民を守るなどと云うのは幻想に過ぎない」 と公言し、それならば国家に頼らずに自衛する権利がある、と云う発信にも一理あります。無政府状態で混乱するばかりですが。それでよいのか?


なお問題となっている原子力発電所に関する最新 (と思われる) 資料は;


福島原子力発電所の状況 /3月16日 19:00時現在 (公開情報を元に原産協会とりまとめ)


海外向け英語版もアリ。 社団法人 日本原子力産業協会 参照。


以下、非常に妥当と私が判断するあるジャーナリストの意見を紹介。原子力に関しては過去1年間に渡る取材経験はあるものの専門家ではないこと、および流言飛語が飛び交う中恣意的に一部のみ引用されることを避けるため、ネットでの一般公開はされておりません。引用部分については、議論の余地が無い筈です;

−−− 福島第1原発の事態は、すでに非常に重大なことになっている。スリーマイル島(福島と同じ沸騰水型)の事故は、一つの原子炉のみの部分的な炉心溶融で、放射性物質の外気放出も比較的少なかった。福島の事故は、すでにそれを大きく越えた重大さだ。チェルノブイリでは、大爆発と火災によって炉心の放射性物質のかなりの部分が空高くまで運ばれ、気流に乗って非常に遠方まで到達し、世界的な被害を与えた。福島第1は、現時点でそのような事態にはなっていないものの、4つの原子炉で同時に重大な危機と放射性物質の漏洩が起きており、その点で、今の時点ですでにチェルノブイリ並みの大事故になっている。


 半面、もし今後数日間か1週間ぐらいうまく原子炉の制御を続け、1、2、3号機の炉内の温度を100度以下に下げて冷温停止に成功すれば、これ以上の大きな被害を食い止めることができる。一時は周辺住民に避難命令が出された福島第2原発は、その後すべての原子炉を無事に冷温停止させている。日本の運命は、今後の数日にかかっている。


 すべての問題の原子炉を冷温停止させ、4号機の使用済み核燃料プールの問題も解決できたとしたら、その後は20年ぐらいかけて1−3号機(もしかすると4号機も)の、溶融した核燃料などを除去し、原子炉を廃炉にしていく作業が必要になる。スリーマイル島原発では、事故後の原子炉の処分に14年かかっている。福島ではもっとかかるだろう。原発は、再臨界の条件など、事故の時に何がどうなるかわからないまま安全を宣言して営業運転をしている巨大な「実験装置」であり、本質的に危険なものであるというのが、今回の事故で判明した。日本は(おそらく世界的にも)原子力政策を根本から見直すことになるだろう。すでにドイツは日本の震災後、古い原発の寿命の延長をやめることを決定した。 (以下略、引用終わり)


なお被ばくについての記事も溢れていますが、現在出されている避難勧告で十分、と云うもの、既に危険レベルである、と云うもの等多数あり、私には判断出来ません。専門家であるセンセイたちは研究の資金をどこかに頼る必要がありますから、多かれ少なかれスポンサー; 政府・原発推進派・反対派などの息がかかっている筈だし。なおいずれのケースも、公表されている数字が正しければ、の前提があります。


さて、どうしましょうかね?