遊蕩爺の漂浪メモ

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チャイナ・バッシング ?

気になるニュースがあったので紹介;


BBCドキュメンタリー「中国人が来た!」、海外での中国人の行動をあからさまに批判―中国紙
  Record China 2月19日(土)17時38分配信


  −−−2011年2月18日、環球時報は、このほど英BBCで放映されたドキュメンタリー・シリーズが、海外における中国人のイメージを著しく損ねているとしてBBCを非難した。 (以下略、引用終わり)


   件のBBCドキュメンタリーは以下と思われます (投稿されたのは4つとも2011年2月12日);


  ◆BBC Documentary: "The Chinese Are Coming" (Part 1 of 4)
  


  ◆BBC Documentary: "The Chinese Are Coming" (Part 2 of 4)
  


  ◆BBC Documentary: "The Chinese Are Coming" (Part 3 of 4)
  


  ◆BBC Documentary: "The Chinese Are Coming" (Part 4 of 4)
  


日本もかつて通った道の様な気もするし、日本よりはるかに目立つ規模での進出がゆえの Yellow Peril (黄禍論) なのかなぁ、と云う気もします。日本だって過去 「エコノミックアニマル」 と呼ばれたことがありましたが、中国人はそれ以上に勤勉ですから。また事情は少し異なりますが、F1レースに参戦した日本チームが 「彼らは24時間マシンにかかりっきり、レースを楽しまない」 と云うような批判を受けたこともある。これは、F1レースを技術鍛錬・チャレンジの場としてしか捉えず、ヨーロッパモータースポーツの優雅な祭典として楽しむ文化を知らなかった (あるいは馴染めなかった) ことが原因であった、と私個人的には思いますが。


やれ現地のコトバを解さないだの地域に溶け込まない、地元にカネを落とさないなどは、何も中国人に限ったことではない。日本人や欧米人だって自分たちの慣れ親しんだ環境をそのままそっくり (アフガニスタンの戦場にまで馴染みのファーストフード店があったり) 持ち込む、群れる、は同じ。もっと規模が大きくなれば中国人街やら日本人街、xx人街も出来ますね。治安上の都合や子どもの教育の問題もあるだろうし、そもそも故郷から遠く離れて暮らすのだからある程度は仕方がない。地元にカネを落とす様な環境が無いのかも知れないし、あるいは故郷の家族に仕送りしなければならない、などの事情もある筈だし。


褒められたハナシではないかも知れないが、進出先の商売を破壊する、原材料を買い叩く、労働環境が悪いなども、何も中国に限らない。特に欧米については、過去、宗主国の植民地に対する、と云う形で悪びれずに搾取したので、更にヒドかった筈です。これは、我々が正しいと考える市場原理を持ち込めば必ず起きる事象。その観点から言うなら、競争力を上げろとか、中国人の製品との差別化を図れ (ブロイラーに対する地鶏とか) 、それが出来なければ生き残れない、との正論もぶてますよね。中国人のおかげで市場が創出された、あるいは拡大した、と云うプラス面だってある筈。大勢の中国人労働者の移動のため、あるいは商売が出来る様にインフラ整備もなされている様だし。


中国の国策として内政干渉をしない、と云う大原則があるのかは知りませんが、それがマイナスに作用することもあるでしょう。現地政府の人権侵害に知らん顔をして取引している、とか。でも途上国ではほぼ常に旧宗主国の立場にある欧米の様に、自分たちの価値観が常に正しい、あるいは優れていると勘違いしてそれを押しつけることが正しいか? これは難しいところです。世界はまだ欧米仲良しクラブのレベルですから。


日本人は海外、特に途上国での勤務を敬遠する傾向が最近顕著、との報道を見たことがあります。その経験は自分の世界観を一変させる・拡げる可能性もあるのですが、自分の人生設計上マイナス面が大きいから、との観方も否定出来ません。それなりに豊かになったのでしょう。中国の実情は知らないが、ニュースなど見ている限り、巨大な国ではあるが、あるいは巨大であるがゆえに、生活レベルはそんなに高い訳がない。過去散々欧米列強に絞り取られたこともあって、豊かな国とは思えませんから。でもその地域では贅沢ではないが大きな不自由も無く暮らしていたところに、ある日突然市場原理が導入され生活が困窮しているケースが多いのでは? 中国自体、仁義限無きグローバリゼーションの被害者でもある。 「偉大なる途上国」 とはそういうことでしょう。従って、生活の糧を求めて 「競争率の低い」 途上国への進出の動機がある。骨をうずめるつもりで移住するケースもあるでしょうが、デカセギの方が圧倒的に多い。世界中に華僑のネットワークもあるし。


現地に 「進出」 して違法行為を働くのは言語道断ですが、そうでない限り、BBCの放送を中国バッシングと捉える必要は必ずしも無いと思います。紛争難民が隣国へなだれ込むだけでも大きくクローズアップされるのですから、目立つ、欧米人と比較される、批判される、軋轢が起きるのは当然。自分の生活の糧が得られて、かつ地元にも何かをもたらせればそれでよい。某国の様に武器弾薬を供給して紛争を煽る、紛糾したら出掛けて行って参加する −− 言い換えれば戦争を売り付けて国家や国土を破壊することと比べたら、意義のあることと思いますが。むしろBBCの放送は、昔欧米が行った植民地支配と比較する観点から欧米人にこそ見て欲しいものです。