遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

2011年 初記事:  ブラジル 大統領交代

  この習慣も消えつつある?


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これはブラジル連邦共和国大統領旗。上掲たすき中の紋章。


新年2011年1月1日をもって予定通り、 ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ、愛称 『ルラ』 さんから ジルマ・ルセフ さん *1 へと ブラジル連邦共和国大統領 が引き継がれました;


Veja as fotos da posse de Dilma Rousseff
   Sáb, 01 Jan, 05h45, Por Redação Yahoo! Brasil
    引き継ぎの儀式の写真掲載アリ。



議会での就任演説(録画)、41分弱


全文か抜粋か確認しておりませんが、演説のトランスクリプトは:


G1 - Veja e leia a íntegra do discurso de posse de Dilma
   01/01/2011 17h15 - Atualizado em 01/01/2011 18h32, Do G1, em Brasília


なおニュースでは "Dilma, a primeira mulher presidente do país"、あるいは "Dilma Rousseff becomes first woman to lead Brazil" と報道されています。正しいと云えば正しいのですが、ジルマさんはブラジルを統治する二人目の女性であることも報道されています;


Dilma Rousseff toma posse dois séculos depois da última mulher que governou o Brasil
  Edição 30/12/2010 - Publicado em 31/12/2010 - 08h28, Globo


  ※ 123年前、"princesa Isabel" が統治したことがあるとのこと。このプリンセス (皇女) について調べて見ますと;


  History of Brazil に短い記述がありました;


    −−−The Empire of Brazil / After a period of nine years of regencies, Pedro II was declared of age in 1840 and assumed his full prerogatives. Pedro II started a more-or-less parliamentary reign which lasted until 1889, when he was ousted by a coup d'état which instituted the republic. At the end of his reign, he presided in absentia over the abolition of slavery in 1888. (His daughter, Princess Isabel, signed the Aurea Law in his stead.)


  ペドロ2世 (ブラジル皇帝) より抜粋;


    −−−しかし糖尿病に冒されたペドロ2世は次第に統治能力を失った。外遊中に、国民に不人気であったが摂政を務めていた長女イザベルが、奴隷解放令に署名したために地主の支持を完全に失い、戦争で力をつけた軍部のクーデターにより、1889年にペドロ2世は廃位された。 (中略) 男子はいずれも夭逝したため、長女イザベルが家長および名目上の皇帝位を継承した。 (引用終わり)


  
  出典: ブラジル皇女イザベル


つまり、1822年から1889年まで南米ブラジルを統治した立憲君主制国家 ブラジル帝国 最後の実質的な統治者 (摂政)、と云うことですね。上掲ブラジル連邦共和国大統領旗画像をよく見ますと、紋章の下に "República Federativa do Brasil / 15 de Novembro / de 1889" とありますから、イザベル皇女は独立後初の女性統治者、ジルマさんは共和制になってから初の女性統治者、通算では2人目と云うのが厳密には正しいのかも。


一方、名大統領として依然として高い支持率 (2010年12月18日あたりでの大統領支持率87%、ルラ政権支持率も80% *2) を誇ったまま、3選を認めない憲法の規定に従って惜しまれながら去りゆくルラについては、数多くの記事があります。とりあえず2つだけ紹介;


Brazil bids farewell to Lula, ushers in successor
  Sat Jan 1, 6:20 am ET, BRASILIA (AFP) via Yahoo! News


Lula: “Veo con tristeza que Obama no haya cambiado la relación con América Latina”
  27 Diciembre 2010, Cubadebate


ジルマさんは当面ルラ路線を引き継ぐでしょうが、そのうち必ず独自色を出して来る筈です。ルラは完全に引退する様ですから院政を敷く様な姑息なマネはしない筈。従ってジルマは、選挙においてはルラの影響力を最大限利用したと思うが、ルラの傀儡では有り得ません。西側メディアでは、女性であること・左寄りであること (この前時代的な偏見が厳然としてありますね) 、彼女の過去の経歴、ルラの功績から悪意の感じられる報道が少なくありませんが、気にすることはない。経済に関しての手腕は、など期待半分・どうせダメだろう半分で言われていますが、では左右男女問わず、この混迷する状況下、経済運営を完璧に行っている他国の為政者・政府があるなら教えて欲しいものですし。皆ガタガタではないか。南米最大の盟主として、北の巨人の介入を排して新しい体制を創ってくれるだろう、と私は期待するところ大。新年にふさわしい、数少ないめでたいニュースで年頭を飾れるのは大変ラッキー ♪ とおもいます。


なお新閣僚については、大変気の利いた記事がありますので紹介;


Dilma dá posse a novos ministros no Palácio do Planalto
  01/01/2011 18h13 - Atualizado em 01/01/2011 18h14, Do G1, em Brasília

  
   似顔絵をクリックすると、下に名前・担当職などが表示されます。

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*1: 各国語ウィキペディア中日本語の記事が最もプア。日本の外交レベルと関心の低さの表れに他なりません。ブラジル専門家と称する方々が早く加筆・訂正などすべきと思いますが−−−

*2:ルラ支持率、過去最高 - アンデスから始めよう の情報を参照させて頂きました