インターネット: 懸念
今年の8月あたりからネットの負の部分についての報道が目に付きます。 『テロとの戦い』 は覇権維持のための口実としてだけではなく国民監視のためにも非常に有効、アメリカ (だけではないと思うが) のネットの世界も、リアルの世界同様あるいはそれ以上に警察国家化しつつあります;
◆ツイッターにも通信傍受? =政権が法制化を検討―米紙
時事通信 9月29日(水)6時23分配信
−−−現行法では、犯罪やテロ捜査に当たる司法当局の盗聴を可能にするため、電話やブロードバンド・サービスの会社にこうしたシステム整備が義務付けられている (以下略)
◆Congress Has Plans for an Internet Blacklist in the Works -- Let's Stop This Now
AlterNet / By David Segal and Aaron Swarz, October 1, 2010
◆After Committing to 'Net Neutrality,' Rep. Henry Waxman Pushes Bill to Kill It
Raw Story / By Stephen Webster, September 28, 2010 (AlterNet 掲載)
◆White House Seeks Broad Powers to Wiretap Internet
by Jason Ditz, September 27, 2010, ANTIWAR.COM
◆Ex-CIA chief weighs in for Internt kill switch
Submitted by Bill Weinberg on Mon, 09/27/2010 - 15:28, WW4
更にイヤらしいのは、正に "free and open" なネットの恩恵を受けて圧倒的なシェアとカネを持つに至った私企業による、ネットの私物化。中立性が失われるだけではなく、彼らの囲いこんだ個人情報も自分達の利益のためだけに扱える。アメリカ国内では相当危機感がある様で抵抗を呼びかけてはいますが、日本ではサービスの利便性をアピールして某G社のおこぼれに与ろうとする輩ばかりでは?;
◆Google puts 10 million dollars into world-changing ideas
Fri Sep 24, 3:46 pm ET, SAN FRANCISCO (AFP) Yahoo! News
◆Google & Verizon's Evil Plan Is Really Bad News for Regular Internet Users
AlterNet / By Scott Thill, August 25, 2010
◆Verizon & Google Want to Kill the Open Internet -- Media Mogul Confirms Their Bad Intentions
AlterNet / By Rep. Alan GraysonAugust 20, 2010
◆The Internet Belongs to Us -- Tell the FCC to Stop the Dangerous Google/Verizon Deal
Center for Media Justice / By Amalia Deloney and Joshua Breitbart, August 18, 2010 (AlterNet 掲載)
◆Google Goes Totally "Evil" -- Wants to Destroy the Internet That Made It So Rich
AlterNet / By Adam Green, August 9, 2010
◆グーグルコリア家宅捜索、個人情報収集の疑い
8月10日19時22分配信 聯合ニュース
◆How Facebook Betrayed Users and Undermined Online Privacy
August 5, 2010, AlterNet / By Allan Badiner
◆Google and Verizon Have a Plan to Wreck the Internet
Posted on Aug 9, 2010, Truthdig
◆The Google-Verizon Deal May Forever Change the Internet As We Know It
Free Press / By Josh Silver, August 8, 2010 (AlterNet 掲載)
◆Verizon & Google Enter Reported Deal for Tiered Internet Use, Is Net Neutrality in Jeopardy?
August 06, 2010, DEMOCRACY NOW !
◆インターネットで個人情報の追跡ビジネスが急成長=WSJ調査
2010年 8月 2日 20:30 JST
◆元記事
The Web's New Gold Mine: Your Secrets
◆マイクロソフトのオンライン・プライバシー戦略の変遷─消費者から広告主寄りへ
2010年 8月 2日 17:34 JST
◆元記事
Microsoft Quashed Effort to Boost Online Privacy
−−−インターネットに関する基本書として私が大変重宝しているのは、 村井純 さん著の;
- 『インターネット』 (岩波新書) 岩波書店 ISBN 4004304164 1995年
- 『インターネットII〜次世代への扉〜』 (岩波新書)岩波書店 ISBN 4004305713 1998年
- 『インターネット新世代』 (岩波新書)岩波書店 ISBN 4004312277 2010年
3冊シリーズです。上掲ウィキペディアで 『日本におけるインターネット黎明期からインターネットの技術基盤作りそのほかにずっと関わり続けている。1995年の新語・流行語大賞に「インターネット」でトップテン入賞し、受賞した。日本のインターネットの父とされ、「ミスター・インターネット」と呼ばれることもある。英語圏では「インターネット・サムライ」のニックネームを持つ。』 と紹介されている大ベテラン。ネットの生い立ちから日本での発展、将来の展望など、問題の指摘も交えながら紹介されています。
極端に単純な言い方をすれば、ネットは所詮デジタルデータを世界中でやりとりする手段に過ぎません。一日中パソコンにへばりついてネットを利用していても腹は一杯にならないし喉も潤されません。米(小麦でもいいけど)1粒、水1滴たりとも産み出せるものでは無いし、それ自体が幸福や平和をもたらす魔法の道具でもない。それを実現出来るのは人間だけだから。と云うことは角度を変えて言えば、ネットに乗って流れる情報が人を動かしますから、その情報によって連帯・分断、賞賛・誹謗、平和・戦争など、善きもの悪しきもの両方を産み出せることになります。インターネットにノーベル平和賞を、と言うなら、インターネットを戦争犯罪者に、とも言える。
−−−インターネットは国境のない世界が共有する財産だと言いながら特定の国や企業の利益を目指すのであれば、それは自殺行為に他なりません。国による国民監視・企業による独占などの問題以外にも、構造的な問題がある、と私は考えています。
インターネットはもともとアメリカの国防総省の指揮下構築された ARPANET - Wikipedia が原型で、アメリカで発展し、世界に広がったものです。その功績と経緯もあり、事実上の管理主体としてネット資源 (IPアドレス、ドメイン名、プロトコル、ポート番号) を管理する ICANN - Wikipedia およびネット技術 (RFC : Request For Comments と呼ばれる一連の技術文書) を管理する Internet Engineering Task Force - Wikipedia の2組織ともアメリカ国内に設置されています。 インターネットとは - JPNIC によると 『特筆すべきは、 ICANN、 IETFともに非常に開かれた組織で、原則として誰でも参加できる』 だそうですが、参加出来ることと決定に関与出来ることは別問題。おまけにそこでどんな決定が下されようが、アメリカ国内にある以上アメリカ政府の管理下にあり、その国益に反した活動は許されない筈です。それが懐の深い国であればまだしも、実際には狭量で独善排他的・好戦的な国ですから−−−