遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

ハイチ大地震に関する報道

政府そのものが機能しなくなっている様で、被害の実態は明らかになるに連れて想像を絶する規模になりそう。そんな中、国際機関・各国からの援助が開始されていますので、行方不明の生存者の救出・被災者の保護・インフラ復興などが進むことを祈るばかり。


ただし今回の災害に関する報道を見ていて幾つか気になる点があるので下記してみたく;

  • http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20100114k0000m030084000c.html
    毎日新聞 2010年1月13日 20時03分(最終更新 1月14日 2時19分)


    −−−20世紀後半以降、独裁政権が相次いだハイチでは、民政移管とクーデターが繰り返されるなど、今も独裁の後遺症を引きずっている。米ソ冷戦時代に軍事独裁政権を経験した他の中南米諸国が90年代以降、民主主義を定着させたのとは対照的に、ハイチ国民はいまだにその恩恵を受けていない。 (中略)


     米国の研究者、ジャレド・ダイアモンド氏は著書「文明崩壊」の中で、ハイチ荒廃の原因について、1957年から86年まで続いたデュバリエ父子による独裁政治を挙げる。独裁者が私腹を肥やすことに終始したため、インフラ整備は放置された。この無策によって自然災害に脆弱な社会構造になってしまったというわけだ。ドミニカ共和国にも独裁政権時代があったが、インフラ整備は進められ、ハイチだけが中南米カリブ海諸国で取り残された。


記事そのものに間違いは無いとは思いますが、 「独裁のせいでハイチは米州の最貧国となり、災害に脆弱な体制となったことで被害が拡大し、被災者が悲惨な状況にある」 と云う論調はいかがなものか? 災害復興の過程では問題となるが、災害の大きさそのものに関して国の体制はあまり関係ないのでは?

  • 今回の 「米州の最貧国ハイチ」 での大震災に限らず、過去の 「民主的な先進国・他中南米諸国」 での災害 -- 阪神大震災アメリカ南部での水害、ベネズエラでの鉄砲水など -- だって、発生直後は同じ様な悲惨な状況でした。 「政府は何をやっているのか」 の怒りの声は常にありましたよね?
  • 万全の体制が整っている筈の世界の地震国日本でさえ、阪神大震災ではそのぜい弱さが露呈しましたよね?ましてハイチは長いこと大地震に見舞われていなかった様ですから、地震を想定したまちづくりを考えていなかったとしても仕方が無いのでは?カネだってかかりますし。ただし、国の中枢機能を擁する建物が無防備だったのは確かに問題。
  • 災害を全く想定していない建物やまちは、私が知る限りの中南米だけ見ても沢山ありますよ。大雨が降れば地盤が崩れることは誰の目にも明らかな危険な場所への違法建築やら、有り合わせのレンガを積んだだけの積み木の様な建物など、特に所謂 「貧民街」 と呼ばれる、経済的弱者が寄り集まった場所は概ねそんな状況でしょう。日本だって、無理やり山を切り開いて建てた建物は沢山あるし、最近高速道路も崩れましたよね?別にハイチだけの問題ではありません。
  • 上掲報道中イチバン腹が立つのは、独裁こそがハイチを荒廃させた元凶であるかのごとき、馬鹿なアメリカ人の 「研究」 。中南米を中心に言うなら、 「アカの台頭を何より恐れた」 アメリカの直接・間接の援助を受けた軍事独裁政権時代の暗部 (暗部だけでは無いのですが) を、いまだに後遺症を引きずりながら乗り越えて来たのは事実。でもハイチが乗り遅れた原因の大きなものについては、過去このブログに記した *1 様に;
    • 旧宗主国フランスが厚かましくも請求した、フランス植民者の失った農園や財産などの賠償金支払。
    • 度重なる介入や援助により、アメリカがハイチの民主化を 「許さなかった」 こと。


自国の歴史を正しく認識することの出来ない、あるいはその必要を理解しないアメリカらしい手前味噌な屁理屈に過ぎません。そんな国をヨイショする様なイヤらしい記事もあります;

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100114-00000610-san-int
1月14日20時12分配信 産経新聞


 【ワシントン=犬塚陽介】死者10万人を超す可能性が懸念されるハイチ大地震を受け、国際社会の被災者支援も加速している。オバマ米大統領は13日、「人命救助のための迅速かつ組織化された積極的な努力」を関係機関に指示し、クリントン国務長官もアジア・オセアニア歴訪を中止して支援の陣頭指揮に当たる方針を表明。欧州連合(EU)や中国も救助隊派遣を決めるなど、各国の足並みがそろい始めている。 (以下略)


地理的要因とその軍事力からアメリカ主導はいたしかたないし、それを支えるアメリカ国民の大半は善意に満ちたひとたちであることを祈りますが、アメリカ政府のやることなので恐らく災害復興にとどまらないだろう、との懸念があります。御破算で願いましては、でアメリカに都合のよいシステムを導入するには絶好のチャンスですからね。鳴り物入りで大盤振る舞いをする政治家はどこにでも転がっていますが、その陰ではしっかり覇権の確保を考えている国です。まあ、今回は助かる人が多いので当面は許せますが。

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