遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

広島市への原子爆弾投下: 1945年(昭和20年)8月6日午前8時15分 およびアメリカで教えられている原爆のこと

 写真の出典:
 http://www.nagasaki-np.co.jp/peace/2005/kikaku/02/27.html


今日はヒロシマ原爆記念日、もう64年が経つのですね。合掌−−−


でも今年の平和宣言には正直がっかりさせられました。そう感じるのは私だけかも知れませんし、大変重たい話題でもあるので、9日のナガサキ原爆記念日までに何回かに分けて考察して見たいとおもっています。ではどこがひっかかるのか?

広島市平和宣言 からの抜粋


−−−今年4月には米国のオバマ大統領がプラハで、「核兵器を使った唯一の国として」、「核兵器のない世界」実現のために努力する「道義的責任」があることを明言しました。核兵器の廃絶は、被爆者のみならず世界の大多数の市民並びに国々の声であり、その声にオバマ大統領が耳を傾けたことは、「廃絶されることにしか意味のない核兵器」の位置付けを確固たるものにしました。
 

それに応(こた)えて私たちには、オバマ大統領を支持し、核兵器廃絶のために活動する責任があります。この点を強調するため、世界の多数派である私たち自身を「オバマジョリティー」と呼び、力を合せて2020年までに核兵器の廃絶を実現しようと世界に呼び掛けます。その思いは、世界的評価が益々(ますます)高まる日本国憲法に凝縮されています。−−−


−−−最後に、英語で世界に呼び掛けます。
 
We have the power. We have the responsibility. And we are the Obamajority.
Together, we can abolish nuclear weapons. Yes, we can.

2009年(平成21年)8月6日

広島市長 秋 葉 忠 利

(注)英語部分の訳は次のとおりです。

私たちには力があります。私たちには責任があります。そして、私たちはオバマジョリティーです。
力を合せれば核兵器は廃絶できます。絶対にできます。


4月5日オバマプラハで行った演説 *1 はもちろん存じ上げておりますが、ヒロシマの平和宣言をそれに乗っけるのはいかがなものか? 単なるオバマへのよいしょではないか。 敢えてそれに触れるのであれば、オリジナルの演説をよく分析したうえでヒロシマならではのメッセージを加えて欲しかったですね。 また、具体的に何を以って 「日本国憲法の世界的評価が高まる」 と言っているのか? これでは 【アメリカの属国・ 反核一点張りで反戦の意志が見られない国】 と云うネガティブな評価が強調されるだけ、と感じます。 そのせいか、最後の英語での発信部分には品も力強さも無いし、説得力が無いなぁと感じます。 まあ、日本国政府がアテにならない以上これでよい、と云う評価もアリかも知れませんが、その場合でも私は 「オバマジョリティー」 には加わりたくありませんね。 アメリカの国益だけのための活動はしたくありませんので。


発表された長崎平和宣言の骨子にもオバマ米大統領演説への評価が盛り込まれている様ですから、とりあえずそちらに期待。


そうそう、お世話になっているYAHOOサイトで、 『日本は核廃絶に向けて役割を果たしている?』 と題されたアンケート調査行っていますから、参加されてはいかが?


一方、オバマプラハでの演説についてはどうか? 大統領としての発言ですから国民の意見やいかに? は大変興味があります。以下、原爆を投下したエノラ・ゲイ号に乗り組んだ最後の生き残りのおひとりのコメントが掲載されていましたので紹介しておきます;

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090803-00000000-maip-int
エノラ・ゲイ乗組員 広島の放射線被害「これほどとは…」
8月3日2時30分配信 毎日新聞 より抜粋


1945年8月6日、広島に世界初の原子爆弾を投下した米軍のB29爆撃機エノラ・ゲイ」乗組員(12人)の一人で爆発物の監視を担当したモリス・ジェプソンさん(87)が2日までに、米ラスベガスの自宅で毎日新聞とのインタビューに応じた。ジェプソンさんは、64年後の今も被爆者の後遺症が残っていることについて「放射線被害がこれほど大きいものとは思っていなかった」と述べた。また、原爆使用についてオバマ米大統領が「道義的責任」に言及したことについて、「間違っている」と批判、「戦争早期終結のためだった」と使用を改めて正当化した。


 ◇オバマ大統領の道義的責任発言「世間知らずで間違い」


 −−−(中略)ジェプソンさんは「窓から(キノコ)雲と火が広がっていくのが見えた。多くの命が奪われ、多くが破壊されていることを意味した。うれしいことではなかった」と語った。


 現在も残る放射線被害については、「(原爆を開発した)ロスアラモス研究所自体、これほど被害が大きいことは理解していなかったと思う。米国の物理学者も驚いた。当時のトルーマン大統領でさえ知っていたとは思えない」と語った。


 だが、当時は米軍の本土上陸作戦が近づいていたと説明、「上陸すれば、米兵だけでなく、日本兵や一般の日本人の多くが犠牲になることは明白だった。原爆は戦争を早期に終結し犠牲を回避するための唯一の選択だった」と述べた。


 その上でオバマ大統領が4月にチェコプラハで原爆使用国としての「道義的責任」に触れ、「核のない世界」を目指すと述べたことについて、「原爆を使用した米国を罪だとしており、あまりにも世間知らず(ナイーブ)な発言だ。彼は我々の世代が死亡するのを待っている」と批判。将来、米大統領被爆地を訪問することになった場合、「とても悪い気分になるだろう」と述べた。【ラスベガス(米ネバダ州)で小倉孝保】 (以下略)


許容される基準を超えて引用してしまった様な気がしますが、あえてそうする理由は、ジェブソンさんの発言が正にアメリカの教科書で教えられている 「史実」 そのものと思われるため。つまり、これが大半の愛国心 *2 に富んだ 「良き」 アメリカ人の認識と思われます。 また、原爆 (核兵器) は究極ではあるが最後の選択肢として容認されている、と云うことも出来る。 ただし広島・長崎への原爆投下が当時本当に 「唯一の正しい選択だった」 かどうかについては議論があると聞いたことはあります。戦略上原爆投下の必要は全くない *3 との認識にもかかわらず、時期と相手から判断して実際に使って試す絶好の機会、とする勢力が強かったのでしょう。誰とはあえて言いませんが。


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*1:オバマ米大統領核廃絶演説 唯一の核使用国、「道義的責任」に言及
<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR 国際>
毎日新聞 2009年4月7日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/world/obama/archive/news/2009/04/20090407ddm002030034000c.html?inb=yt 参照

*2:蛇足ですが、日本にはアメリカ教の崇拝者は多いものの、それを支える愛国心だの国家・国歌・国旗への絶対忠誠だのはすっぽりと彼らの認識から抜け落ちている様で。

*3:Wikipedia東京大空襲】 url = http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E7%A9%BA%E8%A5%B2 参照

これも議論を呼びそうな記事ですが