遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

オバマ新政権の軍事政策 Watch: その13 オバマのガーナ訪問のこと

今回紹介・考察するのは、軍事政策と直接関係はありませんが、オバマがアフリカの 『優等生』 ガーナで行った演説について;

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090712-00000001-mai-int

米大統領>「アフリカは暴力や腐敗の終結を」ガーナで演説
7月12日0時28分配信 毎日新聞 よりの抜粋


 【ヨハネスブルク高尾具成】オバマ米大統領は11日、ガーナの首都アクラで演説し、「民主主義とグッドガバナンス(良き統治や政治運営)」を推進するアフリカの「模範国」を称賛。他のアフリカ諸国に対し、成熟への変化を求めた。


 「アフリカの多くの人にとって、(部族間などの)紛争が日常になっている。アフリカの首かせとなっている。紛争や汚職がアフリカの発展を妨げている


 「暴力や腐敗が支配する圧政を今こそ終わらせるべきだ。アフリカには強い統治者はいらない。強い(統治)制度が必要だ


(中略)


 アフリカは権力を巡って暴力が横行し、民主主義の浸透していない国があまりに多い。


 例えばオバマ氏の亡父の故郷ケニアは、オバマ大統領当選の翌日を国民の祝日にしたが、「安定した国」と言われながら、07年末の大統領選を機に、民族間対立で1000人以上の死者を出した。


 「アフリカの発展はあなた方のグッドガバナンスにかかっている。良き統治が長年、無視されてきた


 オバマ氏は演説で、クーデターや独裁体制が続く他のアフリカ各国や指導者らに向けて、「米国は民主主義国家やグッドガバナンスを支えていく」との姿勢を明確に打ち出し、最後は「イエス・ユー・キャン(そうだ、あなた方はできる)」と締めくくった。 (以下略)


いい気なもので、正に 『歴史を無視した、先進国に都合のよい論理』 の典型ですね。これを世間では名演説と呼ぶのだろうか??? 正義の味方アメリカが、アフリカの暴君をやっつけてやる−−−スーパーマンの世界。


アフリカの歴史 *1 について振り返ることはここではしませんが、住民は奴隷として売り飛ばされるわ、欧州の列強がその利害に基づいて勝手に国境は決めるわ、先進国の資源の浪費による温暖化の影響をモロに受けて砂漠化は進むわ、部族間の紛争やら極端な貧困のタネを播いたのは一体誰なのか?


衣食足りて礼節を知る、ってコトバがあります。今アフリカの貧しい国に必要なのは、無条件にまず食 (水を含む) の確保ですね。我々がよく口走るタワゴトに、 『一時的な援助は問題の解決にならない。食べて行ける仕組みを作らなければ』 ってのがありますが、餓死しかけている人に言うコトバではありませんよね?もし自分の子供が餓死しかけている時にこんなことを言われたらどう感じますか? 実際の援助物資の配布には困難が伴う (中間で物資をくすねてカネ儲けをする輩−−−アフリカの人とは限りませんよ−−−の存在) ことはよく認識しておりますが、でも21世紀になった今でも誰かが餓死するのは我慢が出来ない。アフリカの人達が自分で食の確保が出来るところまでは、『先進国』 の責任と費用負担で行うべきですね。カネにまみれた 「民主主義」 だの、市場の暴力にまかせた 「自由経済」 の導入なんて、その後自分達で考えて行うこと。アメリカ合衆国大統領たるオバマに、グッドガバナンスを云々する資格なぞありません。*2


極論に聞こえるかも知れませんが、でも我々がどんな形でアフリカを 「荒らして」 来たのかを少しでも認識すれば無理はない筈です。以下、田中宇さんサイトから記事を紹介します。この記事に対する反論は難しいでしょうね;

アフリカの統合 (2009年7月7日  田中 宇)
http://tanakanews.com/090707africa.htm からの抜粋;


−−−米国が911事件後に「テロ戦争」から「世界強制民主化」へと走り、独裁政権が多いアフリカ諸国に対しても、人権や民主化などの面で批判や脅しを強め、アフリカを支配してきた欧州諸国も、米国との付き合い上、アフリカ諸国の人権侵害や独裁を問題にせざるを得ず、アフリカ諸国は欧米を敬遠するようになった。米欧が支配するIMF世界銀行は、人権や民主化などの面での改善を、アフリカへの経済援助の条件とする姿勢を強めた。対照的に中国は、人権や民主化について条件をつけずにアフリカへの経済援助を続けたので、アフリカは欧米からの批判を無視して中国と密接な関係を持つ傾向を強めた。(China discovers value in the IMF


 この問題に関する日本人の常識は「アフリカの独裁者が人権や民主主義を無視するのは悪だ。欧米がせっかく悪を是正しようとしているのに、自国自身が独裁で人権侵害している中国は、自国の利権拡大だけを重視し、欧米の善行を阻害する悪事を働いている」というものだろう。しかし歴史的に見ると、アフリカに対する分割支配を恒久化し、アフリカの人々の人権を最も踏みにじってきたのは欧州(欧米)である。


 欧米は、アフリカを分割し、独裁ぐらいしか政府を維持する方法がないような国家の枠組みをアフリカ各地に作った上で、独裁をやめろとか、民主化しろとか言っている。分割状態は経済的にもアフリカの発展を阻害し、恒久的に欧米からの援助が必要な援助中毒に陥らされている。欧米がやっているのは善悪観を操作する巧妙な国際知能犯罪であるが、国際情勢を知らない日本人は簡単に騙されている。騙されていることが、日本が先進国の仲間入りさせてもらえる条件とも言える。


 アフリカには、中国の進出に対して批判的な人もいるが、その一方で、中国のような非欧米勢力がアフリカに援助や経済関係を拡大することで、アフリカは欧州による100年の支配から脱するきっかけをつかめると歓迎している人も多い。中国は、アフリカ各地で港湾や鉄道、道路などのインフラ整備事業を手がけている。「民主化」よりも、経済発展によって社会が安定する方が国民の幸福につながるという中国の改革開放の考え方が、アフリカでも実践されている。


 かつては、日本も非欧米勢力として、欧米の詭弁的な支配構造を破壊してくれると発展途上国から期待されたが、戦後の日本は対米従属以外の政治目標のない国であり、今や途上国は日本ではなく中国に期待している。日本人は、それをねたんで中国を嫌悪する本末転倒の状況にある。日本が、欧米の偽善的な世界支配をきちんと指摘する国になれば、世界は日本を見直すだろうが、そのこと自体、今の日本人は理解していない。中国は、アフリカで中国型の経済発展モデルを成功させたいという世界戦略があるが、日本のアフリカ外交には戦略が欠如している。


普通の 「独立国」 は、暴力的・ジコチューであることが多いにしろ、確たる外交政策を持っています。日本は−−−政策と云えば米国への隷属だけで、 「国際社会」 から期待されているのはカネだけです。


また広島・長崎の原爆記念日終戦記念日が廻ってきます。これでいいのでしょうかね? たとえ政権が交代したとしても基本政策は変わりそうにないし。であるなら、いっそ州としてアメリカに組み込んでもらうのがいい、って議論もそれなりに意味があるかも知れません。少なくとも自治が認められていますからね−−−


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