遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

パキスタンの少女 Malala Yousafzai マララ・ユスフザイさん (14歳) 銃撃事件: Misogyny 〜 男尊女卑

   パキスタンの少女 Malala Yousafzai マララ・ユスフザイさん (14歳) 銃撃事件 続報3



Malala Yousafzai status updates
  University Hospitals Birmingham NHS Foundation Trust

   容態は安定しているものの、当然劇的な回復をしている訳ではありません。銃弾が頭と首に撃ち込まれたと云うことは脳および脊髄に損傷があることを意味するのでしょうから、回復するにしても ガブリエル・ギフォーズさん 以上に治療・リハビリに時間がかかる筈。



"The courage to say no to misogyny" (既紹介) によればマララさんが目標とする人物は、想像した通り Malalai of Maiwand および Malalai Joya であり、そもそもマララと云う名前にはその様なご両親の願いも込められているのでしょう。


ところで糾弾の対象となっている "Misogyny" って −−− 宗教のみならず地域や民族特性、文化の関係もある筈ですが、パキスタンアフガニスタンでは、女性を男性より劣る存在と見なすことによる差別・蔑視・虐待・殺人などを指すと解します。 「男尊女卑」 の言葉は翻訳としてふさわしくはありませんが、それに近そう。女の子の教育など認めない、嫁さんの鼻や耳を削ぐ、なぶり殺して首をちょん切るなんてのはその加害行為であり、耐えかねて焼身自殺を図り大火傷を負う、首を吊るなんてのは被害行為。残念ながら、パキスタンでの状況は全く把握していませんが、侵略軍と出来そこないのかいらいカルザイタリバンやら軍属を甘やかすアフガニスタンではこれが相当数発生 参考サイト 。今回の犯行は、アフガニスタンに本拠を置くタリバンの親分がパキスタンの子分に命じて実行させたものとの報道があります;


Misogyny - Islam

   ミソジニー - Wikipedia


Women in Islam

   イスラームと女性 - Wikipedia


Islam and domestic violence - Wikipedia



上掲ウィキペディアの記事などはあくまで目次の役にしか立ちません。また、記事が中立公正である保証もありませんから、参考程度の価値しか (しか、とは言ってもネット上の傑作ですが) ありません。宗教についても現地事情についても生半可な知識しかない部外者、特に 『西側』 がその狭量な価値観から勝手に裁いて手を出すのは狂気の沙汰。


アフガニスタン侵攻は米欧による犯罪行為と私は解します。でもアメリカがアフガニスタンに侵攻した当初、女性のみならず国民を蔑視し虐待する軍属やらタリバンなど犯罪者を侵攻軍がぶち込んで裁いてくれる、との大きな期待があったそうです。ところが結局侵攻の目的は国の解放などではなく支配と収奪ですから、そんなことは起こらなかった。侵攻軍の敗色が濃厚となるに至っては、軍属やらタリバンを取り込んで辻褄合わせ。米欧侵攻軍はアフガニスタン石器時代に逆戻りさせてしまったのが現実。また戦闘を勝手に隣国パキスタンにまで拡大させ、無人爆撃機により多くの民間人を殺戮して反米感情を煽った。加えてムハンマド侮蔑、ムスリム差別−−−


そんな中、まだ子どもであるマララさんが今回瀕死の重傷を負うこととなったのは、タリバンに言わせれば 『反イスラム的な言動』 を止めないこと、顔も名前も晒しているのに全くの無防備であったこと、アメリカ (と云うより西側) の支援を受けていることでしょう。タリバンの扱い、男尊女卑などはパキスタン国内あるいは地域内でしか解決出来ないし、圧力をかけてそうさせるべきですが、 『西側』 によるマララさんへの鳴り物入りの称賛・支援行為は事態をこじらせ、犠牲者を増やす大きな要因になりかねないと思います。


この "Misogyny" および外国による侵略行為と戦う組織としては多分名実共にNo.1である Revolutionary Association of the Women of Afghanistan (RAWA) はマララさん銃撃に関して一切発信を行っていない様子。何か事情がある筈です。


マララさん個人に関しては、これ以降その回復に大きな動きがあるまでは特に採り上げません。最後にひとつ論評を紹介;


Sympathy for Pakistani Girl Shows Limits of Concern
  Posted on 10/16/2012, Fairness & Accuracy In Reporting, Inc. (FAIR)

  −−−Joya recently issued a statement of support for Yousafzai (rabble.ca, 10/14/12) that called Yousafzai's efforts to "wake up the women of the rural areas of Pakistan to stand up and defend their due rights" a "warning for those who only understand the language of the gun." One wonders how deeply U.S. reporters understand that, or want to. (記事終わり、引用終わり)

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