遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

子どもの臓器移植のための渡航: 私は賛同しかねるけれど −−−

私は幸いにして、自分の子を助けるために他人の子の死を待ち望むと云う地獄のジレンマに晒されたことはありませんが−−−


子供の臓器移植 渡航希望、後絶たず
  産経新聞 6月15日(金)7時55分配信


  −−− 渡航移植は年々厳しくなり、20年以降、欧州や豪は日本人の受け入れを禁じた。国内の提供者が少ない理由について、小児専門病院の医師は「幼児の親は治療を諦められず、医師も話を持ち出しにくい」と話す。 / 小児の心臓は小さく血液量も少ないため、移植を待つ間に使用する補助人工心臓も子供用が必要だが、体重20キロ未満の子供が安全に使える機器は承認への治験が4月に始まったばかり。大人は補助人工心臓で1年〜1年半待てるが、子供はそれもかなわない。海外での移植に頼るしかない現実がそこにある。 (以下略、引用終わり)



子どもに限らない一般的な、外国人に対する 臓器移植 (英: Organ transplantation) に関する海外での最近の報道をざっと探してみますと;


China Tightens Restrictions on Transplants
  Wednesday, July 4, 2007, Washington Post Foreign Service


Canadian doctors debate transplants for foreigners
  30 Apr 2011, BioEdge


Foreigners to be banned from having UK organ transplants
  UPDATED: 07:57 GMT, 31 July 2009 By Daily Mail Reporter


Philippine Government Bans Organ Transplants For Foreigners
  Article Date: 01 May 2008 - 8:00 PDT, Medical News Today


Rich Foreigners Jump List for Brit Organs / Doctors outraged as a record 8,000 Britons await transplants
  Posted Jan 4, 2009 12:49 PM CST, newser (US)


Foreigners Traveling to the U.S. for Transplantation May Adversely Affect Organ Donation: A National Survey
  American Journal of Transplantation, Volume 10, Issue 6, pages 1468–1472, June 2010


Hundreds of British transplant organs given to foreign patients
  9:00PM GMT 24 Jan 2009, Telegraph



臓器提供不足はどこの国でも同じだし、外国人への移植を自国民に優先させることには当然反発があります。


臓器移植はキレイ事では無い、必ずカネが絡んで来ます。それが謝礼金と云う名目なのか、臓器売買の代金と云う名目なのか、仲介料と云う名目なのかは別としてね。 『渡航移植の子供たち 新たな人生 「元気になれる子が増えるといいね」』、半分だけ同感; 日本の子どもをひとり助けるために渡航先の子どもをひとり犠牲にすることは、到底容認出来ない。逆の立場に立てば言うまでも無いこと。


臓器移植やら渡航移植について、自分自身のことなら、それが生の終わりを意味するとしても、私はどちらも辞退して疼痛緩和だけ考えることに決めています。でももしそれが自分の子どもやら大切なひとについてだったら −−− 豹変しない自信は全くありませんけどね。でも国内のことは国内で完結させるべきでしょう。


<心停止移植>背景に深刻な臓器不足 残る倫理的課題
  毎日新聞 6月24日(日)10時22分配信



ただし、道徳やら倫理なんてコトバが殆ど意味を失ったこの国では、仁術ではなく算術に長けたセンセイ達の言動には要注意。恐らく彼らは頭の (胸の?) 中で[延命持続による利益 x 生存率] と [移植による利益] を天秤にかけて、子どもを含めた患者の親御さんやら親族に延命中止・移植を勧めるのでしょう。311以降、 「センセイ不信症」 になってしまった。移植のためではなく多分病院の効率重視のために二度殺されかけた 別記事 で紹介のアルゼンチンの奇跡の赤ちゃんルス・ミラグロスちゃんを見ていると、余計にそう思えてしまう。

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