遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

宇宙の話題: ほぼリアルの世界、 虚構 (仮説) の世界

少し夢のある話題を;


【ほぼリアルの世界】



 へび座にダイヤの星? =豪電波望遠鏡で発見
   時事通信 8月27日(土)9時33分配信


    でもその星では −−− ダイヤの商業的な価値; 希少価値 はありませんね。


 'The Dish' finds a 'diamond planet' (Media Release)
   26 August 2011, the Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation (CSIRO)

    ScienceImage





 宇宙に輝く「ネックレス」 ハッブル望遠鏡が撮影
   2011.8.13 21:59、msn産経ニュース



 Hubble Offers a Dazzling View of the 'Necklace' Nebula
   August 11, 2011, HubbleSite - NewsCenter






 炭よりも黒い暗黒の惑星、天文学者のチームが発見
   2011.08.13 Sat posted at: 12:00 JST、CNN.co.jp


 Alien World is Blacker than Coal
   For Release: Thursday, August 11, 2011 09:00:00 AM EDT, CfA (HARVARD-SMITHSONIAN CENTER FOR ASTROPHYSICS) Press Room


    Host to 'Hot Jupiter' (labeled)
     04.16.09, NASA

    TrES-2 - Wikipedia





 地球の「100兆倍」の水、120億光年のかなたに発見
   2011.07.26 Tue posted at: 13:19 JST, CNN.co.jp


 Astronomers Find Largest, Oldest Mass of Water in Universe
   22 July 2011 Time: 03:48 PM ET @ SPACE.com


 Black Hole Hosts Universe's Most Massive Water Cloud
   Published July 27, 2011 @ National Geographic News




【虚構 (仮説) の世界】



 George & the Big Bang - Lucy Hawking


 George and the Big Bang (George, book 3) by Lucy Hawking and Stephen Hawking
   Fantastic Fiction (UK)



  Stephen Hawking 博士と娘さんの Lucy Hawking 共著による子ども向けシリースの3作目がようやく出版された模様;


  書籍データ: Paperback: 286 pages
         Publisher: Doubleday & Co Inc. (August 1, 2011)
         Language: English
         ISBN-10: 0385615531 / ISBN-13: 978-0385615532


   子ども向けであり原作も平易な英語で書かれています (私は3作目は未入手) が、扱っている内容が内容だけに読みでがあります。お子さんにプレゼントして親が少し優位に立って知ったか振りをしながら? 補足するには、それなりの努力が必要。1作目・2作目について云えば、写真や用語や理論の解説頁がサンドウイッチの様に設けられているとは云え、特にこの3作目は ビッグバン と云う、 釈愚さんに言わせれば 漫画チックな、しかし現在定説となっている理論 (仮説) を扱っていますので。 岩崎書店 さん、翻訳はいつ出るのですか?




【少し (いや、相当) 背伸びを−−−】


 上掲 『ビッグ・バン』 と 一般相対性理論、および神の領域について。私のレベルは所詮知ったか振りですから、元ネタをばらしておきますと;


 SEIKYO online (聖教新聞社):ホーキングが描く“世界像”
   2011年2月11日、 佐藤勝彦 さん寄稿

    この記事を読む上での参考として、下掲の 「知ったか振り」 説明も参照。


   宇宙の創造に神は必要ない=ホーキング博士
     2010年 09月 3日 10:11 JST、Reuters



  佐藤教授は世界有数のエキスパートだけあって難解な理論を非常に平易に紹介されているので、興味のある向きにはおススメ。Webで幾らでも検索可ですが、例えば; 「佐藤勝彦」関連書籍 書籍 PHP研究所 など。


 右掲書籍の副題は 『物理の2大理論が一冊でまるわかり!』 なのでいいかも。先日近所のエキナカ書店で見かけました。私の手元にあり、以下のタネ本として使用するのは 『[図解]相対性理論がみるみるわかる本』 です;


物理学の2大中心理論


  ミクロの世界を扱う 量子論 と、宇宙など広大な世界を扱う 相対性理論


2つの相対性理論


  弱冠26歳の アインシュタイン が1905年に発表した 特殊相対性理論 およびそれから10年後のWWIのさ中1915〜16年にかけて発表した 一般相対性理論


  「特殊」 とは観測者が等速直線運動をしている特殊な場合にのみ有効で、 「一般」 とは加速度運度をしている一般的な場合にも有効であることを意味します。


  「相対」 とは 「絶対」 に対する哲学の概念で、地動説を唱えた ガリレイ が初めて物理学に持ち込んだもの。運動に関し、絶対的に止まっているのか動いているのかを把握するのではなく、静止している自分から見て相手の動きに注目すること。運動を相対的に捉えれば運動の法則がわかることを保証する、物理学の大前提だそうです。



特殊相対性理論


  光の速度; 秒速約30万キロのみが絶対に一定であり、時間も空間も相対的なものであることを証明。つまり、時間と空間が密接に結びつき (時空 と云う概念) 、お互いに影響し合って変化することを明らかにした;


   ・動くものは時間の進み方が遅くなる
   ・動くものは進行方向の長さが縮む
   ・動くものは質量 (重さ) が増える


一般相対性理論


  普遍性を持たせるため、特殊相対性理論では考慮されていなかった重力の影響を考慮。重力とは質量を持つ物質に働く力なので、入れ物である時空と、中身である物質を統一、つまり時間・空間・物質をすべてまとめあげた理論を完成;


   ・重力が強いと空間が曲がる
   ・重力が強いと光の進路が曲がる
   ・重力が強いと時間の進み方が遅くなる


一般相対性理論から宇宙論


  上掲一般相対性理論は宇宙にぴったり当てはまります; 銀河など宇宙の 「中身」 である物質が、宇宙と云う 「入れ物」 にどんな影響を与えるか?


  当然アインシュタインも早速自説に基づき宇宙の姿を考えてみたところ、宇宙の中にある物質の重量によって宇宙は静止状態になく、最終的には収縮して終わりを迎えてしまうことが判明。悩んだ挙句、アインシュタイン方程式 に 「宇宙項」 なる斥力を追加して、宇宙全体の大きさが不変になる様に改ざん。


  ところがその後、『ハッブルの法則』 (注:上掲記事中の HST: ハッブル宇宙望遠鏡 は、この天文学者 エドウィン・ハッブル の名前から命名されています) が発表され、その説明を受けたアインシュタインは 「宇宙は一定不変である」 との自説を撤回。


  でも更にその後の研究で、宇宙の初期には撤回された宇宙項に相当する斥力によって宇宙が急激に膨張したと云う インフレーション理論 が、当 「知ったか振り」 のタネ本の著者である佐藤勝彦さんによって提唱されています。従って、その挿入の経緯は別としても、宇宙項を云うアイデアを思い付いたアインシュタインの想像力は並はずれていたと云えるでしょうね。


ビッグ・バン登場


  「初期の宇宙は超高密度かつ超高温だった」 と考えるこの突拍子もない ビッグバン と云う考えは、 ジョルジュ・ルメートル および ジョージ・ガモフ によって提唱され、それに反対する科学者から 「じゃあ、宇宙はどっか〜ん (Big Bang) と始まったっての?」 と揶揄されたことからその様に命名されたらしい。


  これに対する理論として、 『定常宇宙論』 もあります。詳細は省きますが、この考えだと、とりあえず 「宇宙に始まりがある」 と云う考えが不要。しかしビッグ・バン理論に基づくと、宇宙の起源をどんどん遡って行くと、温度・密度がどんどん高まり、宇宙が1点に凝縮される誕生の瞬間には両方とも無限大、と云うことになります。言い換えれば、物理学の破たんする 「特異点」 がスタートとなってしまう。


ホーキング博士登場


  科学と宗教の目指すところは同じ、と云う考え方もあるとはいえ、宇宙の誕生、言い換えると宇宙の創造については、あの ヨハネ・パウロ2世 でさえ、 「宇宙の創生は神の仕事であり、科学者は研究してはならぬ」 と言った、極めてデリケートな領域です。


  1983年、物理学者 ビレンケン (英語のみ) が 「宇宙は、物質も空間も時間もない、無の状態から生まれた」 とする理論を、一方ホーキング博士は同じ頃、 「宇宙が虚数の時間において生まれたと考えれば、宇宙の始まりが特異点となることを避けられる」 と云う、相対性理論量子論を合体させた 量子重力理論 に基づく理論を発表。ちなみに 虚数 とは、 「2乗した値がゼロを超えない実数になる複素数」 ですから、ホーキング博士自身、当初は単なる説明手段として 「虚数の時間」 の概念を考えていたとのこと、ただしその後、実際にそうした時間はある、と云う方向へ行っている様子。


(以上、佐藤勝彦教授の本からの抜粋による知ったか振り 終わり)



ホーキング博士は、ご存じの通り難病のため体のごく一部を除いて全く動かせないない状態ですから、 「思考実験」 でアイデアを産みだしていると解します。3冊目の子ども向けの本で、ビッグ・バンがどの様に説明され描かれているか興味がありますね。