G7末期の悪あがき、 ついでに新たな植民地時代への布石?? その1
アメリカの債務不履行は土壇場で辛うじて政治的に回避されたものの、その後為替も株式もコモディティーも大きく動いています。その割に今回の危機の引き金となった米国債価格は下がっておらず、米国10年債 (Treasury Notes) 金利は2.1%前後と相当低レベル。
アメリカに対する信頼は揺らがない、なんてアホなことがある訳は無く、投資家が株式から米国債に資金を移さざるを得ない状況が人為的に作られている、との田中宇さんの見方 *1 には説得力があります。金の価格が市場最高値を連日更新中 (左図、出典 = ぱらっとチャート) であることが、ドルの信用失墜をよく表しているのでは。
ドルもユーロも破たんするのは時間の問題と思いますが、米欧G7 (G8と言いたいところですがロシアは仲間はずれの様なので) 内の分裂と末期の悪あがきが表面化。どのみち日本はアメリカの都合良く使われるだけでしょうけど;
【アメリカ格下げ】
本来公正であるべき格付けが、国益に反する行動が道義的に? 許されるワケの無い自国機関によってなされていること自体がまず異常。お手盛りの典型、幾ら覇権国とは云えあまりに露骨。「愛国的な」 他2社の評価維持にもかかわらずS&Pは敢えて格下げに踏み切ったものの、露骨な嫌がらせを受けています。どの様に決着するのか知りませんが、ク●同士が肥溜めの中で喧嘩しているだけのハナシ、馬鹿馬鹿しい;
◆米司法省、S&Pなどに対するSEC調査に協力―危機前の格付け関連で
ウォール・ストリート・ジャーナル 8月19日(金)10時42分配信
◆Rating Action on U.S. and Related Material
Standard & Poor's
◆米国を「AA+」に格下げ、アウトルックは「ネガティブ」
掲載日: 08-Aug-2011 19:50:00 JST、スタンダード&プアーズ
●ムーディーズ - Wikipedia
●フィッチ・レーティングス - Wikipedia
◆中国の格付け会社、国際的な格付け体系の改革を呼びかける
サーチナ 8月11日(木)18時42分配信
◆中国が米財政政策を厳しく批判、ドルの監視強化求める
ロイター 8月7日(日)10時50分配信
◆米国債の信認は変わらない=日本政府高官
ロイター 8月7日(日)12時10分配信
※ 独立国家と隷属植民地の違い。
【格付け機関によるユーロ潰し】
自国の実体経済の破たんは棚に上げ、ドル延命のためにユーロ潰し? 以下、ほんの一部;
◆格付け改革、G20で議論加速を=EU欧州委が呼び掛け
時事通信 7月11日(月)22時39分配信
◆アイルランドを「投資不適格」に=米ムーディーズが格下げ
時事通信 7月13日(水)7時29分配信
◆ギリシャ格付け、停止も=大手3社の力そぐ―EU検討
時事通信 7月8日(金)7時0分配信
◆米国債デフォルト、回避の公算大=日本は長期の財政健全計画を―ムーディーズ
時事通信 6月21日(火)14時43分配信
◆イタリアの債務リスク根強い、新財政再建計画は不十分=S&P
ロイター 7月2日(土)3時55分配信
◆独州立銀行を近く格下げする可能性=ムーディーズ
ロイター 7月2日(土)4時13分配信
◆ギリシャの無秩序なデフォルト、ユーロ圏国債の大幅な価格調整招く可能性=フィッチ
ロイター 7月1日(金)1時55分配信
【米欧以外の動き】
この激変の時に、某植民地の様に手をこまねいているワケが無い。ドル基軸通貨 (ユーロはとっくに脱落) 崩壊に備えた動きは随分前からありましたが、最近のものでは;
◆チャベス大統領、金産業の国営化と金準備の送還を発表
CNN.co.jp 8月18日(木)12時21分配信
※ また反米の旗頭チャベスのアプレ *2 が始まった、で済むかな? 金の価格も相当操作されている様ですから、副産物も期待出来そうなのですが−−−
◆ロシアとブラジル、自国通貨での貿易決済を検討=露中銀
ロイター 8月20日(土)4時22分配信
−−−ロシアを含む新興国からは貿易決済におけるドル離れを求める声が多く上がっており、中国とロシアは昨年、人民元およびルーブルでの貿易決済を開始している。 (以下略、引用終わり)
◆イランと中国、米の対イラン制裁かいくぐるため、石油と武器等のバーター取引を画策―米メディア
Record China 8月3日(水)15時17分配信
※ 「武器」 と聞くと悪の枢軸の悪魔の取引の様に見えますが、世界最大の武器輸出国はアメリカであることをお忘れなく。そんなことはコトの本質とは関係がなく、昔懐かしい? 『バーター取引』 がキモ。
以下その2に続きますが、最近目にした実に間抜けな記事を2つ紹介しておきましょうか;
◆【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 それでもドルは延命する
産経新聞 8月14日(日)7時56分配信
※ 正に噴飯もの。 『40年前に世界通貨は紙切れの時代になってしまったのに、日本だけが発想転換できないで、おカネを刷らない。その結果、消費者も企業も財政も貧しくなるばかりだ。』 で締めくくられるこの 「経済講座」 、こども銀行ゲームの解説レベル。所詮紙切れなのだからアメリカの様にバンバン刷ればよいではないか、と云うのはアメリカ金融界のかいらいの様な一部の 「専門家」 の主張。じゃあ、際限なく刷って (刷らせて) みたら? その時は私はいちおくえんで十分ですよ、老後の生活が随分楽になりますからよろしく。
◆成長のカギは開国と人材=復興と財政再建の両立を―経済財政白書
2011/07/22-10:15、時事ドットコム
※ 『自由貿易協定、経済連携協定などの遅れから「グローバル化への取り組みは他の先進国と比べ遅れている」』 なんて、今更前世紀の半ば腐った遺物を持ち出してどうするのか? メキシコなんて (ごめん!) 世界中とEPAやら経済連携協定やらを結んでいると記憶しますが、経済が活性化していますか? 宗主国にへつらう官僚の姿勢は相変わらず。まずそこを直さないと。 『起業の活性化』 なんてのも、笑わせるなと言いたいですね。出来もしないことではなくて、出る 釘 杭を打つのを止めるだけで十分。 (って、塀の中のホリエモンが言ってなかったっけ?)
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*1:田中宇の国際ニュース解説 中の有料記事 『格下げされても減価しない米国債』 参照。HPで公開されている見出し部分は;
【2011年8月13日】 米国債は格下げされたのに、史上最高に近い高価値(低金利)を維持している。この状態があと1−2週間ぐらい続いた場合「米国債を格下げしたS&Pの方が間違っていたんだ」という言説が、米金融マスコミにたくさん出るようになり、ムーディーズやフィッチは米国債を格下げせず、S&Pは米議会に呼び出されて「誤判断」を非難されるかもしれない。S&Pの格下げは市場から無視される傾向となり、事実上「なかったこと」にされるかもしれない。債券市場の崩壊による大混乱を避けたい金融界は、そうしたシナリオを考えているのでないか。
*2:このコトバも死語でしょう。意味は ⇒ アプレゲール - Wikipedia 参照。