遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

ハイチ自然災害に関して

余震がまだまだ続いている様ですが、更に毎年やって来る雨季・熱帯低気圧による災害の拡大が心配されています;

http://mainichi.jp/select/world/news/20100213k0000m030091000c.html
2010年2月12日 21時10分(最終更新 2月13日 0時41分)


−−− ハイチでは雨期を経て、6〜7月からハリケーンシーズンも到来する。森林が乱伐され荒廃した国土はもともと水害に弱い。地震で緩んだ地盤が降雨でさらに崩れ、2次災害を招く可能性がある。 (中略)


地震国・日本の技術力への期待は大きいが、日常的な道路混雑や暑さなど困難にも直面している。 (以下略)

  • Tropical cyclone - Wikipedia


    −−−Depending on its location and strength, a tropical cyclone is referred to by names such as hurricane, typhoon, tropical storm, cyclonic storm, tropical depression, and simply cyclone.


    この部分は 熱帯低気圧 - Wikipedia では 『台風、ハリケーン、サイクロンなどは、強い熱帯低気圧に対してその位置する海域別に与えられている名称である。』 と説明されています。
  • 水害 - Wikipedia


    水害(すいがい)とは、水による災害、すなわち洪水や高潮など、水によりもたらされる個人的・社会的被害の総称。水災(すいさい)。これを制御することを治水と呼ぶ。


    気象事象による河川池沼の洪水や高潮などによる外水氾濫のほか、排水が上手くできないで起こる内水氾濫などによる都市型水害も大きな問題となっている。 (以下略)


ハイチでは、地震に関してはその発生頻度の低さから備えが無かったのはまだ仕方がないにしても、水害に関しては毎年のことであるのに然るべき治水がなされていない様です;

  • 以前紹介しましたヘイシャン・アートには、誇張されているかも知れないにしろある時期間違いなくあった筈の豊かな緑が描かれています;



    FRANTZ MOSANTO (1955)
    Pasage de Jacmel, Acrylic on canvas, 50.8 x 61 cm
    Private collection, Petion-Ville
    出典: "Peintres haitiens" English version by Gerald Alexis *1
  • ところが実際には現在;



    Satellite image depicting the border between Haiti (left) and the Dominican Republic (right), 2002
    出典: Haiti - Wikipedia


    ハイチの全ての山がこうなのかはわかりませんが、国境を超えるとそこは禿山−−−大きく深く根を張って山を支える木がないのですから、いつ崩れてもおかしくはない。


一方でカリブ海はハリケーンの通り道です;

  • 統計的にハイチ直撃の可能性が高いのは8月・9月あたりでしょうか;




    出典: Tropical Cyclone Climatology 中 "Climatological Areas of Origin and Typical Hurricane Tracks by Month"


2004年にハイチを襲ったハリケーン "Jeanne" も大きな人的・物的被害をもたらし、今回の震災に劣らない規模での国際援助がなされた様です;


Deaths from Hurricane Jeanne
出典: Hurricane Jeanne - Wikipedia


カトリーナは、対応いかんではアメリカの政権を揺るがしかねない規模の被害をもたらしました。それを考えると、ハイチで上掲ジャンヌのもらたした人的被害の大きさが際立ちます。


キューバも、同じイスパニョーラ島の隣国ドミニカ共和国もハリケーンの通勤路にありますが被害ははるかに小さい。地震で地盤が緩んでいるうえに木を切ってしまった分ハイチは絶対的に不利ですが、決してカネに余裕のない両国がどんな工夫をしているのか学ぶ価値アリと思います。(既にアドバイスはなされているでしょう。) ただし森林保全は長い目で見て必要不可欠であるにしても時間的には間に合いませんから、震災からの復興 + 当面の水害対策 + 恒久的な地震・水害政策の全てを綱渡り的にこなす必要があります。日本は人為的な要因によるものも含めた自然災害のデパートですから、検証済みの独自のノウハウが多数ある筈。総合的かつ連携した援助が必要ですから、やはりお付き合いレベルのお門違いPKOではなく、国際緊急援助隊として救助・医療・専門家・自衛隊の4チーム派遣のほうが喜んでもらえませんか?

*1:以前ハイチの方から頂いた2000年イタリアで印刷された画集



の58ページより